円高や株安のたびに出てくる「NISA損切り」に、私は違和感があります
円高や株安が起こるたびに、SNSでは「NISA損切りした方がいいのか」「今は売って様子を見るべきか」といった話題を見かけます。
もちろん、不安になる気持ち自体はよく分かります。実際、お金が減って見える局面は誰にとっても気持ちのよいものではありません。
ただ、インデックス投資を長期・積立前提で始めたのに、下落局面だけ短期目線で売るという行動には、私はかなり違和感があります。
今回は、私自身の投資スタンスを踏まえながら、なぜその違和感があるのかを整理してみたいと思います。なお、これは特定の売買を勧めるものではなく、あくまで私個人の考えです。
私の投資スタンスは「インデックス投資がメイン」です
私は、JUST KEEP BUYINGの紹介記事で書いたようにインデックス投資・個別株投資・配当株投資をしていますが、資産形成の中心はインデックス投資です。投資配分はインデックス投資が80%以上で、個別株は学習や経験の意味合いが強く、配当株も少額で実験的に続けている位置づけです。
この前提があるので、今回の話も「短期売買全般」ではなく、S&P500やオルカンのような広く分散されたインデックスファンドを、NISAで長期積立しているケースに絞って考えます。
そもそも、なぜ積立でインデックス投資をしているのか
金融庁は、資産形成の基本として「長期・積立・分散投資」を挙げています。特に積立投資については、決まった金額を継続して投資することで、安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられると説明しています。また、分散投資は価格変動をある程度抑え、安定的な運用を目指す考え方として整理されています。
さらに金融庁の教材では、効率的な資産形成には時間の分散と長期保有を組み合わせた積立投資が有効であり、短期的な値動きに一喜一憂せず、複利効果を活かしながら資産形成していく手法だと説明されています。投資時期を分散させることで、投資タイミングによるリスクを抑える効果が期待できる、というのが基本的な考え方です。
つまり、積立の前提には最初から
「長期では市場全体の成長を期待する」
「でも短期の相場は読めない」
という2つが入っているはずです。
私はここが、とても大事だと思っています。
相場が読めるなら、そもそも積立である必要はないはずです
もし本当に相場が読めるなら、毎月コツコツ積み立てる必要はありません。
下がる前に現金にして、十分下がったところで一括購入し、上がったところでまた売ればよいはずです。円高になるタイミング、株安になるタイミング、その後に反発するタイミングまで継続的に読めるなら、その方が効率はよく見えます。
でも、現実にはそれが難しい。だからこそ、多くの人は相場予測ではなく、ルールベースで積み立てるという方法を選んでいるのだと思います。
積立投資は、「相場が読めない自分」を前提にした仕組みです。だからこそ、下落局面になった瞬間だけ急に「今回は読める」「今回は別だ」と考え始めると、もともとの投資方法の前提とズレやすくなります。
「NISA損切り」が問題なのではなく、前提を途中で変えることが問題だと思っています
以前書いた目的と手段と前提を揃える考え方でも触れましたが、もし最初の目的が長期で資産を増やすことで、前提が長期では市場全体が成長していくと考えていることなら、暴落時に感情で売るのは、その目的にも前提にも合っていません。長期積立を前提に始めたのに、下がった瞬間だけ短期目線で売るのは、途中でルールを変えてしまっている状態です。
私は、「NISA口座で売ること」自体を絶対悪だと思っているわけではありません。問題だと思っているのは、自分が何を前提にその投資を始めたのかを忘れて、一時の不安に合わせてルールを作り変えてしまうことです。
円高だから、日米の政策がこうだから、ショック相場だから――そういった材料を見て売り買いすること自体は、短期売買としてはあり得る考え方です。
でも、それはもう「長期・積立・分散のインデックス投資」とは別のゲームに近いと私は思います。
短期の不安で売ると、上昇局面だけ取り逃がしやすい
積立投資の難しいところは、下落に耐えること以上に、下落後に戻る局面を待ち続けることかもしれません。
金融庁の説明でも、積立投資は高いときだけ買ってしまうことを避けるための仕組みとされています。逆に言えば、売ってしまうと、その後の戻りや再上昇にいつ乗り直すかという新しい判断が必要になります。
しかも、その判断は「売るとき」と「買い戻すとき」の2回必要です。
最初の下落を当てるだけでは不十分で、次の上昇の入り口も当てないといけません。
だから私は、インデックス投資では「下がる前に逃げること」よりも、最初に決めた前提に従って続けることの方が再現性が高いと考えています。
それでも売ることが合理的な場合はあります
ここまで書くと、「じゃあ絶対に売ってはいけないのか」と思われるかもしれませんが、私はそうは思っていません。
たとえば、生活防衛資金が足りていなかった、そもそも余剰資金ではなかった、近いうちに使う予定のお金まで投資していた、というケースなら話は別です。既存記事でも、そうした前提が崩れている場合は例外になり得ると書いています。
また、投資を始めた時には「長期で持てる」と思っていたのに、実際には値動きに耐えられず、夜も眠れないほど不安になるのであれば、商品選びや投資額が自分に合っていない可能性もあります。その場合に必要なのは、相場の予想というより、投資方針やリスク許容度の見直しだと思います。
私が大事にしたいのは、「不安が来たときほど前提に戻ること」です
私自身は、インデックス投資をメインにしているからこそ、円高や株安のような短期イベントが来たときほど、「そもそも何のために積み立てているのか」に戻るようにしたいと思っています。
長期では市場全体が成長していくと考える。
ただし、その途中の相場は読めない。
だから、毎月積み立てる。
この前提で始めたのであれば、下がったときだけ別ルールを適用するのは、やはり整合しにくいと感じます。
もちろん、将来の市場成長を誰も保証はできませんし、投資には元本割れの可能性があります。それでも、少なくとも私は、相場予測に自信があるから積み立てているのではなく、相場予測に自信がないからこそ積み立てているという立場です。だから、短期の不安だけを根拠に売ることはしません。
まとめ
私が「NISA損切り」という言葉に違和感を持つのは、損切りという行為そのものより、長期・積立・分散で始めた投資を、下落時だけ短期売買の発想で扱ってしまうことに違和感があるからです。
インデックス投資は、相場を読むのが難しいことを前提に、時間を分散しながら長く続けていく考え方です。金融庁も、資産形成の基本として長期・積立・分散を示し、積立投資は高いときだけ買ってしまうことや、安いときに買わないことを避ける仕組みだと説明しています。
だからこそ、不安な場面で本当に確認すべきなのは、「今売るべきか」ではなく、自分はどんな前提でこの投資を始めたのかだと私は思います。
もしその前提が今も変わっていないなら、私は引き続き、淡々と積み立てを続ける方を選びます。インデックス投資をメインにしている考え方の背景は、以下の記事でも書いていますので、あわせて読んでいただけるとうれしいです。
一緒に、投資行動をカイゼンしていきましょう!

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