「会社で頑張ること」と「自分らしく稼ぐこと」は、両立しないものだと思っていませんか。
少し前の私は、収入を増やす手段といえば、昇進するか転職するかが中心だと考えていました。もちろん今でもそれは重要です。ただ、働き方の選択肢が増えている今、その前提だけでキャリアを考えるのは少しもったいないとも感じるようになりました。
前回の記事で紹介した『転職2.0』レビューを読んで、村上臣さんの考え方がとても整理されていてよかったので、「同じ著者の別の本も読んでみたい」と思い、今回の『稼ぎ方2.0 「やりたいこと」×「経済的自立」が両立できる時代』を手に取りました。
このブログではこれまで、転職や市場価値の話を自分の経験ベースで書くことが多かったです。ですが今回は少し視点を広げて、「会社の中でのキャリア」だけでなく、「会社の外も含めた稼ぎ方」をどう考えるかを、本書を通じて整理してみます。
『稼ぎ方2.0』の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 稼ぎ方2.0 「やりたいこと」×「経済的自立」が両立できる時代 |
| 著者 | 村上臣 |
| 出版社 | SBクリエイティブ |
| 発売時期 | 2023年4月 |
| 価格 | 1,760円 |
| ページ数 | 272ページ |
| ISBN | 978-4815618971 |
著者の村上臣さんは、元LinkedIn日本代表で、ヤフーでの執行役員兼CMO経験やスタートアップの戦略・技術顧問など、テクノロジーとキャリアの両方に深く関わってきた人物です。
こんな人におすすめ
- 収入を上げたいが、転職だけが正解なのか迷っている人
- 副業やパラレルキャリアが気になるが、何から考えればよいかわからない人
- 「やりたいこと」と「生活の安定」を両立させたい人
- 会社員として働きながら、個人としての価値も育てたい人
なぜこの本を読んだのか
今回この本を読んだきっかけは、1つ前に読んだ『転職2.0』で、村上臣さんの考え方がかなり腹落ちしたからです。
『転職2.0』では、転職を目的ではなく「市場価値を高める手段」として捉える視点が印象的でした。一方で、『稼ぎ方2.0』はその先にある、「そもそも会社員という枠だけでキャリアを考えなくていいのでは」という問いを投げてくれる本だと感じました。
転職や年収アップの話をしていると、どうしても「次の会社をどう選ぶか」に意識が寄りがちです。ですが、本当に考えるべきなのは、自分はどう生きたいのか、そのためにどう稼ぎたいのかかもしれません。そういう意味で、本書は転職本の延長というより、働き方のOSそのものをもう一段アップデートしてくれる本でした。
『稼ぎ方2.0』の核心は「個で稼ぐ力」を前提にすること
本書の中心にあるのは、テクノロジーの進化によって、これからは誰もが「個で稼ぐ力」を持つ必要がある、という考え方です。著者はその背景として、消費者であると同時に販売者にもなれるクリエイターエコノミーの広がりを挙げています。
ここでいう「個で稼ぐ」は、インフルエンサーになるとか、派手に独立するといった話だけではありません。会社員であっても、会社の外でも価値を出せる状態をつくること、つまりパラレルキャリアを持つことが当たり前になるという感覚です。
この視点は、キャリアの守りにも攻めにも効くと感じました。会社だけに収入源や評価軸を置いていると、環境変化に弱くなります。一方で、会社の外にも価値の置き場があると、働き方の自由度はかなり上がります。
本書で印象に残った5つのポイント
1. 目的は「会社のため」ではなく「自己実現」
本書では、稼ぎ方1.0から稼ぎ方2.0への変化として、まず目的が「会社のため」から「自己実現」へ移ると説明されています。
この考え方は、一見わがままに見えるかもしれません。ですが実際には、自分が何をしたいのか、どんな状態を目指したいのかが明確でないと、働き方も稼ぎ方もブレやすいです。
これは以前書いた目的と手段と前提を揃える考え方ともつながります。目的が曖昧なままだと、副業も転職も発信も、全部がただの手段の寄せ集めになってしまいます。
2. ルール思考より「共感思考」が重要になる
本書では、従来の「正しい手順やルールに従う」発想だけでなく、相手に共感される価値を生み出せるかが重要になると語られています。
特に印象的だったのは、プロセスそのものを公開するプロセス・エコノミーの話です。完成品だけで勝負するのではなく、作っている途中や試行錯誤も価値になる。これは、ブログやSNS、発信活動をしている人にはかなり実感しやすい話だと思います。
個人的にも、今の時代は「何を知っているか」だけでなく、「どう考え、どう積み上げているか」が見える人のほうが、信頼を得やすいと感じます。
3. 予測重視ではなく「適応重視」で動く
変化が速い時代には、完璧な未来予測よりも、状況に応じて動き方を変えられることのほうが重要です。本書では、価値基準の変化として「予測重視」から「適応重視」へのシフトが挙げられています。
この考え方は、会社員のキャリアにもそのまま当てはまります。
「この資格を取れば安泰」「この会社に入れば安心」という時代ではなくなっている以上、環境変化に応じて、自分の強みの出し方を変えられる人のほうが強いです。
4. 行動は「計画的」より「アジャイル的」
本書では、最初から完璧な計画を立てるより、まず小さく試し、改善を回すアジャイル的な行動が重要だと述べられています。
ここは特に実践的でした。副業や発信に興味がある人ほど、「何をやるか決めきれない」「失敗したくない」と考えがちです。ですが、本書のメッセージはかなり明快で、まずは試して、反応を見て、調整することに価値があります。
この感覚は、転職活動でも同じです。職務経歴書、面談、発信、学び直しなど、すべてを最初から最適化するのは難しいです。だからこそ、小さく始める発想が必要だと思いました。
5. 人間関係は「タテ」から「ヨコ」へ
稼ぎ方2.0では、人間関係も会社内の上下関係中心ではなく、ゆるやかな横のつながりが重要になると語られています。
これは、前作『転職2.0』のネットワークづくりの話ともつながります。会社の中だけで評価されるのではなく、会社の外にも「この人はこういう人だ」と認識されることが、機会や収入源の広がりにつながっていく感覚です。
転職の延長線上にある話として読むと、かなり理解しやすいと思います。
『転職2.0』との違いと、セットで読む価値
『転職2.0』は、会社員としてのキャリア戦略をアップデートする本でした。一方の『稼ぎ方2.0』は、その視点をさらに広げて、「会社の外も含めてどう稼ぐか」を考える本です。
ざっくり言うと、
- 転職2.0:市場価値を高めるために、会社の選び方やキャリアの積み方を考える本
- 稼ぎ方2.0:市場価値をもとに、会社外も含めてどう自己実現と経済的自立を両立するかを考える本
という違いがあります。
前作を読んで「転職観が整理された」と感じた人ほど、次に読む一冊としてかなり相性がいいです。
実際、私自身も前作で「転職は目的ではない」と整理されたあとに、本書で「では何を目的に働くのか」をもう一段考えられました。
読んで得られた新しい視点
この本を読んで、私の中で特に大きかったのは、稼ぐことを“会社の中の評価”だけで考えなくなったことです。
もちろん、会社員として成果を出すことは大事です。ですが、それだけだと、どうしても評価軸が会社都合になりやすいです。
一方で、個人として価値を出せる場所があると、「何を学ぶか」「何を発信するか」「どんな経験を積むか」の意味づけがかなり変わります。
これは、お金の話だけではありません。
自己実現と経済的自立を両立させるには、目先の収入だけでなく、どの活動が将来の自由度を上げるのかを考える必要があります。今と未来のバランスで人生設計を考えるなら、今と未来のバランスで後悔しない人生設計術の考え方ともつながると感じました。
この本が役立つ人、少し合わないかもしれない人
役立つ人
- 会社員として働きつつ、もう1本のキャリアや収入源を育てたい人
- 副業や発信に興味はあるが、何から始めればいいかわからない人
- 転職だけでなく、もっと長い目線で働き方を考えたい人
- やりたいことと生活の安定を両立したい人
少し合わないかもしれない人
- すぐに使える副業ノウハウやテクニックだけを求める人
- SNS運用や発信の話に強い抵抗感がある人
- まずは今の職場の人間関係やしんどさの解消を優先したい人
本書はノウハウ集というより、稼ぎ方の前提をアップデートする本です。
だからこそ、具体的な手法を期待しすぎると少し抽象的に感じるかもしれません。逆に、働き方の考え方を整理したい人にはかなり刺さると思います。
良かった点
1. 会社員の延長線で読める
独立や起業の話だけではなく、会社員が現実的にどう視点を変えるかとして読めるのがよかったです。
2. 前作『転職2.0』との接続が自然
市場価値の話から、「その先の稼ぎ方」に議論が広がっているので、シリーズとして読みやすいです。
3. 時代変化の説明がわかりやすい
クリエイターエコノミー、プロセス・エコノミー、アジャイルといった言葉を、ビジネスパーソン向けに整理してくれます。
4. 自分の働き方を俯瞰して見直せる
転職するかしないかではなく、「どんな状態を目指すか」という大きな視点で考え直せるのが、この本の強みだと思いました。
気になった点・読む前に知っておきたいこと
1. すぐ稼げる方法が書かれている本ではない
「副業で月5万円稼ぐ方法」のような即効性あるノウハウ本ではありません。考え方を変える本です。
2. 抽象度はやや高め
実践に落とすには、自分の仕事・強み・発信テーマに置き換える作業が必要です。
3. 発信への抵抗がある人には少し遠く感じる
共感やプロセス公開の重要性が語られる分、発信に抵抗がある人は最初やや距離を感じるかもしれません。
★総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★★ | 専門用語は出てきますが、全体の流れがわかりやすく、ビジネス書としてかなり読みやすいです。 |
| 実用性 | ★★★★☆ | すぐ使える手順書ではないものの、働き方の前提を変えるという意味で実用性は高いです。 |
| 独自性 | ★★★★★ | 「会社で働く」前提だけに縛られず、個で稼ぐ時代のOSとして整理している点が印象的でした。 |
| 再読性 | ★★★★☆ | 副業や発信を始める前後で、刺さるポイントが変わる本だと思います。 |
| 前作とのつながり | ★★★★★ | 『転職2.0』の次に読むと、キャリア観がより立体的になります。 |
| 子育て・仕事・学びとの相性 | ★★★★☆ | 限られた時間の中で何に投資するかを考えるきっかけになり、忙しい世代にも相性がいいです。 |
総合評価:★★★★☆ (4.5/5.0)
まとめ|『稼ぎ方2.0』は「会社の外も含めて働き方を考えたい人」におすすめ
『稼ぎ方2.0』の最大の価値は、会社で評価されることだけをゴールにせず、自己実現と経済的自立をどう両立するかという視点を持てることです。転職、副業、発信、学び直しをバラバラに考えるのではなく、一つの働き方の戦略として捉え直せる一冊でした。
私自身、前作『転職2.0』を読んだ流れで本書を手に取りましたが、「市場価値を高める」だけで終わらず、「では何のために稼ぐのか」「どんな働き方を目指すのか」を考えるきっかけになりました。会社員としての成果と、個人としての価値づくりを分けずに考えたい人には、かなり相性がいいと思います。
もし前作がまだの方は、まずは『転職2.0』から読むのもおすすめです。
一緒に、自分らしく稼げる働き方を育てていきましょう!

コメント