「お金の話を分かりやすく説明できますか?」
実家に帰った時、妹から「NISAって本当に大丈夫なの?リスクはないの?」と聞かれた時、私は言葉に詰まりました。職場の若手社員からも「貯金ができないんですが、どうすればいいですか?」と相談され、「固定費を見直して…」と言ったものの、具体的な手順を分かりやすく説明できませんでした。
前回の「お金の大冒険」レビューや過去の経験から5つの力の概要は理解していたつもりでしたが、「知っている」ことと「分かりやすく伝える」ことは全く別物だと痛感していました。
投資・マネー本レビューシリーズとして、今回は両学長の「お金の大学」を「誰かに説明するための技術習得」という視点から2週間集中的に読み込んだ結果をお届けします。
「お金の大学」基本情報と読書目的
製品概要・スペック
書籍名: 改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学
著者: 両@リベ大学長
出版社: 朝日新聞出版
ページ数: 270ページ
価格: 1,540円(税込)
発行部数: 193万部突破(2025年上半期ベストセラー1位)
なぜ「説明技術習得」を目的にしたのか
直面していた3つの課題:
- 妹への投資説明: 「なんとなく不安」を論理的に解消できない
- 職場での指導: 若手からの相談に具体的アドバイスができない
- 将来への準備: 娘たちへの金融教育をどう行うか不安
コンサルとして論理的説明には慣れているつもりでしたが、「お金の話」となると途端に説明が曖昧になる自分に気づいていました。
振り返ってみると、私自身が蓄財や投資信託での資産運用を当たり前のこととして捉えるようになっており、「なぜ投資が怖いのか」「なぜ貯金ができないのか」といった初心者の気持ちや不安を理解しにくくなっていたのです。専門知識があるからこそ、かえって相手の立場に立った説明ができていませんでした。
こんな人におすすめ
✅ 特に推奨する人
- 家族にお金の話を理解してもらいたい方
- 職場で部下・後輩からお金の相談を受ける方
- 子どもへの金融教育を準備したい親
- 知識はあるが説明に困っている方
⚠️ 他の本も検討すべき人
- 高度な投資戦略を求める方
- すでに家族で金融リテラシーが共有できている方
2週間で習得した「お金を伝える技術」
読書方法・期間
読書期間: 2025年9月上旬〜中旬(2週間)
読書スタイル: 「説明前提」での精読
- 各章を読むたびに「どう説明するか」をメモ
- 重要ポイントを「自分の言葉」に変換する作業
- 具体例を「身近な例」に置き換える練習
学んだ「伝える技術」5つのフレームワーク
1. 段階的説明法:「なぜ→何を→どうやって」
従来の説明:「NISAは投資の非課税制度で…」
改良後の説明:
- なぜ: 「お金を銀行に置いても増えない時代だから」
- 何を: 「利益に税金がかからない投資の仕組み」
- どうやって: 「月3万円ずつ積立投資から始める」
2. 具体例の多用:数字とストーリーで実感させる
学んだコツ:
- 抽象的な「複利効果」→「月3万円×20年で2000万円」
- 一般論の「固定費削減」→「我が家なら通信費8000円削減可能」
3. 不安の言語化:相手の懸念を先回りして解消
妻の不安を整理:
- 「元本割れが怖い」→長期投資でのリスク軽減説明
- 「よく分からない」→つみたてNISAの仕組み図解
- 「急にお金が必要になったら」→生活防衛資金の重要性
4. 選択肢の提示:押し付けでなく一緒に考える姿勢
改良前:「投資した方がいい」
改良後:「①預金のみ ②少額投資 ③本格投資 の3つから選べる」
5. 実践ハードルの最小化:「まず1つだけ」アプローチ
全てを説明せず、「今月は格安SIM検討だけ」という段階的提案法
2つのシーンでの実践検証結果
シーン1:妹への投資説明「NISAの不安解消」
実践内容: 実家に泊まった日の朝、本書の内容を基に30分かけてNISAについて説明
使用した説明技術:
- 段階的説明: インフレリスクから始めて投資の必要性を説明
- 具体例: 「月3万円を20年続けると…」のシミュレーション提示
- 不安解消: 「世界全体に投資すれば1つの国が破綻しても大丈夫」
結果:
- 妹:「そういうことなら、少し始めてみようかな」
- 効果: 夫婦でつみたてNISA口座開設を決定
- 学び: 「押し付け」でなく「一緒に考える」姿勢が重要
シーン2:職場の若手社員への家計指導「固定費削減のコーチング」
実践内容: 26歳男性社員(年収500万円、貯金20万円)からの相談対応
使用した説明技術:
- 現状把握: 本書の貯める力編を活用
- 優先順位: 「まず通信費から」の段階的アプローチ
- 具体的手順: 格安SIM乗り換えの具体的ステップを説明
結果:
- 1週間後: 格安SIM乗り換え完了(月6000円削減)
- 反応: 「こんなに簡単だったんですね!次は何をしましょう?」
- 効果: 他の若手社員からも相談が増加
シーン3:将来の娘への金融教育準備「教える側の基盤作り」
実践内容: 現在2歳の娘が高校生になった時の教育シナリオ作成
本書から学んだ教育アプローチ:
- 年齢別段階設定: 小学生・中学生・高校生での教える内容の整理
- 体験重視: 「お小遣いでの投資体験」など実践的教育法
- 親の準備: 質問に答えられる知識とフレームワークの習得
現在の準備状況:
- 15年後への準備: 本書の内容を「教える側」として完全理解
- 教材準備: 年齢に応じた説明方法の体系化完了
- 心理的準備: 金融教育への不安が大幅軽減
ブログ読者への実用的まとめ:「説明技術」のエッセンス
本書の構成と「伝える」視点での価値
章 | 内容 | 説明技術として学べること |
---|---|---|
第1章 | 5つの力の概要 | 全体像を分かりやすく整理する方法 |
第2章 | 貯める力 | 固定費削減の具体的手順説明法 |
第3章 | 稼ぐ力 | 副業選択の判断基準の伝え方 |
第4章 | 増やす力 | 投資の不安を解消する説明技術 |
第5章 | 守る力 | リスク管理の重要性を実感させる方法 |
第6章 | 使う力 | 価値のあるお金の使い方の説明法 |
読者が今すぐ活用できる「説明のコツ」
1. 相手の立場に合わせた例示
- 投資初心者: 「銀行預金との比較」から開始
- 子育て世帯: 「教育費準備」という切り口
- 若手社員: 「将来の給与上昇より確実」なアプローチ
2. 数字の効果的な使い方
- 大きな数字: 20年後の複利効果で動機付け
- 小さな数字: 月1000円から始められる安心感
- 比較数字: コーヒー1杯分の投資効果
3. 不安への先回り対応
本書には「よくある質問と回答」が豊富に掲載されており、説明前に予想される質問への準備ができます。
「説明前提」で読むことの学習効果
Before/After比較
項目 | 読書前 | 読書後 |
---|---|---|
投資説明の自信 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
具体例の豊富さ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
相手の不安理解 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ |
段階的説明スキル | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
「教える前提」読書法の効果
- 理解の深化: 説明するために本質理解が必要
- 記憶の定着: アウトプット前提で読むと忘れにくい
- 実用性向上: 知識が実際の場面で活用可能になる
- 自信の獲得: 「伝えられる」という自信が行動力を生む
他の金融教育書との比較:「伝える技術」習得の観点
一般的な投資本との違い
比較項目 | 一般的な投資本 | お金の大学 |
---|---|---|
対象読者 | 投資経験者 | 完全初心者から |
説明スタイル | 専門用語多用 | 日常語での説明 |
構成 | 投資手法中心 | 生活全体の最適化 |
実践性 | 理論重視 | 具体的手順詳細 |
教える際の活用 | 準備が必要 | そのまま説明可能 |
「説明技術習得」での本書の優位性
- 図解の豊富さ: 視覚的説明にそのまま活用可能
- Q&A形式: よくある質問への回答例が充実
- 段階別構成: 相手のレベルに応じた説明が可能
- 具体例の豊富さ: 様々なパターンでの説明例を収録
★総合評価
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
説明技術習得効果 | ★★★★★ | 具体的なフレームワークが即座に活用可能 |
実践的価値 | ★★★★★ | 実際の説明場面で効果を実証済み |
家族コミュニケーション改善 | ★★★★★ | 夫婦での金融理解が大幅向上 |
職場指導スキル向上 | ★★★★☆ | 若手指導での具体的成果を実感 |
子育て教育準備 | ★★★★★ | 15年後への準備として完璧な基盤構築 |
コストパフォーマンス | ★★★★★ | 1,540円で複数スキルを同時習得 |
総合評価: ★★★★★(4.8/5.0)
特に「知識はあるが説明に困る」という同じ悩みを持つ方には、確実に価値を提供できる一冊です。
まとめ
この書籍の最大の価値
「お金の大学」の最大の価値は、金融知識を「自分だけの理解」から「他人に伝えられる技術」に昇華させることです。特に「説明前提」で読むことにより、理解の深さと実用性が飛躍的に向上します。
2週間で得た最大の収穫
妹との投資に関する建設的な会話、職場での指導スキル向上、そして将来の娘への金融教育への自信。これら全てが「分かりやすく伝える技術」の習得により実現できました。知識があっても「伝えられない」ジレンマを抱えている方には、特に価値の高い学習体験となるでしょう。
一緒に、お金の知識を「伝える技術」も含めて身につけ、周囲の人々の金融リテラシー向上に貢献していきましょう!
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