「ロジカルシンキングって、結局コンサルだけの話でしょ?」
以前の私は、そう思っていました。しかし『ロジカル・シンキング』(照屋華子・岡田恵子著)を読んで実践してみると、家計管理から育児方針まで、日常のあらゆる場面で威力を発揮することが分かりました。
ITコンサルとして論理的思考が必須の環境にいる私ですが、この本から学んだ「MECE」「So What?/Why So?」の技術は、仕事だけでなく家庭生活でも大きな変化をもたらしました。
今回は、『考える技術・書く技術』の基礎固めとしても最適な本書について、実際の体験をもとに詳しくレビューしていきます。
なぜこの本を選んだのか
「考える技術・書く技術」の次のステップとして
以前レビューした『考える技術・書く技術』を読了後、「基礎をもう一度しっかり固めたい」と感じていました。バーバラ・ミントの本は素晴らしいのですが、やや上級者向け。より基礎的で実践的な内容を求めていました。
マッキンゼーの実証済みメソッド
著者の照屋華子氏と岡田恵子氏は、マッキンゼーで10年近くエディターとして活動した実績を持っています。世界最高峰のコンサルファームで磨かれた思考技術を、体系的に学べる点に魅力を感じました。
日常活用への期待
コンサル業務だけでなく、家庭での意思決定や子育ての方針決定にも論理的思考を活かせるのではないか。そんな期待を持って手に取りました。
書籍詳細情報
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 書籍名 | ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル |
| 著者 | 照屋華子・岡田恵子 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 価格 | 2,420円(税込) |
| ページ数 | 227ページ |
| 初版発行 | 2001年4月 |
著者の権威性
両著者はマッキンゼー・アンド・カンパニーで長年エディターとして活動し、同社の資料作成や論理的思考の指導を担当していました。実際のコンサルティング現場で培われた、実践的なノウハウが凝縮されています。
こんな人におすすめ
- 論理的思考の基礎を体系的に学びたい人
- 「考える技術・書く技術」の前段階として学習したい人
- 日常生活でも論理的思考を活用したい人
- MECE・So What?/Why So?を実践レベルで身につけたい人
本書の核心:2つの技術
MECE(ミーシー):漏れなく・ダブりなく
MECE = Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive
情報を整理する際の鉄則で、「相互に排他的で、全体として網羅的」という意味です。
実践例(我が家の家計管理):
- 固定費:家賃、保険、通信費
- 変動費:食費、光熱費、娯楽費
- 特別支出:冠婚葬祭、家電買い替え、旅行
この分類により、家計の見直しポイントが明確になり、年間20万円以上の支出削減を実現しました。(※実際に整理する際はもう少し細かく整理します。)
So What?/Why So?:話の飛びを防ぐ
So What?:「だから何なのか?」
Why So?:「なぜそう言えるのか?」
この2つの問いかけにより、論理の飛躍を防ぎ、説得力のある議論を構築できます。
実際に家計管理や家庭で2年間実践して分かった価値
使用期間と実践範囲
- 学習期間:2年間
- 実践場面:業務、家計管理、育児方針決定、家族会議
- 頻度:日常的に意識して活用
👍 期待を上回った点
1. 家庭内意思決定の質的向上
育児グッズ購入の例:
- 従来:「これ良さそう」→衝動購入→後悔
- MECE適用後:安全性・教育効果・コスト・使用期間で分類→論理的判断
結果として、無駄な買い物が70%減少し、本当に必要なものだけを購入できるようになりました。
2. 家族とのコミュニケーション改善
週末の予定決めの例:
So What?: 「家族全員が楽しめる週末にしたい」
Why So?: 「なぜその活動が家族全員にとって良いのか?」
この思考プロセスにより、家族会議の時間が半分に短縮され、全員が納得できる決定ができるようになりました。
3. 問題解決スピードの向上
子どもの夜泣き対策の例:
MECEで原因を整理:
- 生理的要因:お腹空いた、おむつ、暑さ寒さ
- 心理的要因:不安、甘え、環境変化
- 病気要因:発熱、体調不良
So What?/Why So?で対策を検証:
- なぜこの対策が効果的なのか?
- だから何をすべきなのか?
結果、夜泣きの対策ができたと感じています。
👎 注意すべき点
1. 習得に時間がかかる
最初の3ヶ月は、MECEで考えることが不自然に感じられました。日常的に意識し続ける継続的な練習が必要です。
2. 完璧主義に陥りがち
すべてをMECEで分類しようとして、かえって時間がかかることがありました。「程よい論理性」が重要だと学びました。
3. 感情的な場面での限界
夫婦喧嘩や子どもが泣いている時など、感情が高ぶっている場面では論理的思考が機能しにくいことを実感しました。
「考える技術・書く技術」との使い分け
| 項目 | ロジカル・シンキング | 考える技術・書く技術 |
|---|---|---|
| 難易度 | 入門~中級 | 中級~上級 |
| 適用場面 | 日常的な思考整理 | 資料作成・プレゼン |
| 学習順序 | 1番目(基礎固め) | 2番目(応用展開) |
| 実践しやすさ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
推奨学習フロー:
- 『ロジカル・シンキング』で基礎を固める
- 『考える技術・書く技術』で高度な技術を習得
- 両書の技術を組み合わせて実践
日常活用の具体的実践法
朝のルーティン設計
MECE活用例:
- 身支度:洗面、着替え、身だしなみ
- 家事:朝食準備、洗濯、掃除
- 家族サポート:子ども準備、夫サポート
- 自分時間:読書、情報収集
買い物判断基準
So What?/Why So?活用例:
欲しい商品発見
↓
So What?: この商品は我が家にとって本当に必要?
↓
Why So?: なぜ必要と言えるのか?
(使用頻度・効果・代替手段との比較)
↓
論理的購入判断
子育て方針の決定
MECE×So What?組み合わせ例:
教育方針をMECEで分類:
- 知育面:言語・数字・芸術・運動
- 社会性:協調性・独立性・責任感
- 価値観:思いやり・努力・好奇心
各項目でSo What?/Why So?:
- なぜこの教育が重要なのか?
- だからどんな具体的行動を取るのか?
★総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 実用性 | ★★★★★ | 日常生活のあらゆる場面で活用可能 |
| 理解しやすさ | ★★★★☆ | 具体例豊富で基礎から学べる構成 |
| 実践継続性 | ★★★★☆ | 習慣化すれば自然に使えるようになる |
| 即効性 | ★★★☆☆ | 効果実感まで2-3ヶ月の継続練習が必要 |
| コストパフォーマンス | ★★★★★ | 2,420円で一生使えるスキルが習得可能 |
| 関連書籍との相性 | ★★★★★ | 考える技術・書く技術の前段階として最適 |
総合評価:★★★★☆(4.3/5.0)
他の思考法書籍との比較
| 書籍名 | 難易度 | 実践性 | 日常活用度 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| ロジカル・シンキング | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | 2,420円 |
| 考える技術・書く技術 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 3,080円 |
| イシューからはじめよ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | 1,980円 |
| 仮説思考 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 1,760円 |
『ロジカル・シンキング』は日常活用度で他書を大きく上回っています。
実践のコツ・注意点
成功のポイント
- 小さく始める:まずは家計整理から実践
- 毎日意識する:思考の癖として定着させる
- 家族と共有:家族会議で活用して効果を実感
- 完璧を求めない:70%の論理性で十分
よくある失敗パターン
- すべてをMECEで分類しようとして時間をかけすぎる
- 感情的な場面でも論理を優先してしまう
- 他人に押し付けてしまう
まとめ:論理的思考で変わる日常生活
この本の最大の価値
『ロジカル・シンキング』の真の価値は、論理的思考を特別なものではなく、日常の当たり前にできることです。MECE・So What?/Why So?という具体的な技術により、家計管理から子育てまで、あらゆる場面で質の高い意思決定ができるようになります。
個人的な体験総括
実践を通じて、家計の無駄遣いが減少、家族会議の時間が半減、育児の悩み解決スピードが大幅向上しました。特に『考える技術・書く技術』の基礎固めとして読んだことで、両書の相乗効果を最大限に活用できました。
一緒に論理的思考で生活を改善していきましょう!


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