「それってクリエイター向けのデバイスでしょ?普通のPC作業に必要ある?」
2023年11月、Elgato Stream Deck +の購入を検討していた時、周囲からそう言われました。確かに、動画編集や配信で活躍するイメージの強いデバイス。しかし「普通にPCを使う人でも便利なはず」という直感を信じて導入した結果、22ヶ月経った今でも手放せない存在になっています。
コンサルタントとして日々複数のプロジェクトを管理し、資料作成やデータ分析に追われる中で、このデバイスは想像以上の効率化をもたらしました。クリエイター以外でも十分に活用できる、その真価をお伝えします。
これは作業環境シリーズとして、実際の業務で検証済みの生産性向上ツールをご紹介する記事です。
Elgato Stream Deck + 基本情報

製品概要
項目 | 詳細 |
---|---|
製品名 | Elgato Stream Deck + |
メーカー | Elgato(エルガト) |
購入時期 | 2023年11月 |
価格 | 約35,000円(税込) |
サイズ | 140×138×110mm |
重量 | 465g |
構成 | LCDボタン×8、ダイヤル×4、タッチストリップ |
接続 | USB-C |
こんな人におすすめ
- 複数アプリケーションを頻繁に切り替える方:ショートカット操作の効率化
- 定型作業が多いビジネスパーソン:ルーティン作業の自動化
- リモートワーク中心の方:Web会議やチーム連携の効率化
- PC作業の生産性向上を重視する方:時短効果による業務改善
なぜクリエイター向けデバイスを選んだのか
既存ショートカットデバイスの限界
購入検討時、一般的なショートカットキーボードやマクロキーも候補でした。
従来デバイスの課題:
- 機能の固定性:ボタン機能の変更が困難
- 視認性の問題:どのボタンが何の機能か分からない
- 柔軟性の欠如:アプリケーションに応じた設定変更ができない
- 拡張性の限界:複雑な操作の組み合わせが困難
Stream Deck +選択の決定要因
1. LCDボタンによる視覚的分かりやすさ 各ボタンに機能名やアイコンを表示、直感的な操作が可能
2. アプリケーション連動の自動切替 使用中のソフトに応じてボタン機能が自動変更
3. ダイヤル機能の実用性 音量調整や数値変更など、アナログ操作に対応
4. 豊富なプラグイン・拡張性 サードパーティ製プラグインによる機能拡張
22ヶ月使用した非クリエイター活用法
日常業務での基本活用
アプリケーション瞬間起動
Before(従来の作業)
- Windowsキー押下
- アプリ名入力
- 検索結果から選択・起動
After(Stream Deck +導入後)
- ボタン1回押下で即座に起動
設定アプリケーション(よく使う8つ)
- Microsoft Excel
- PowerPoint
- Outlook
- Teams
- Google Chrome
- Notion
- PDF-XChange Editor
- Calculator
朝の業務開始時、これら全てを約10秒で起動完了。従来の個別起動と比較して70%の時間短縮を実現しています。
Web会議効率化の革命
音量・マイク制御のストレス解消
Web会議中の頻繁な操作をダイヤルに集約:
- 左上ダイヤル:スピーカー音量調整
- 右上ダイヤル:マイク音量調整
- 専用ボタン:マイクミュート/解除
- 専用ボタン:カメラON/OFF
会議中にアプリを切り替えることなく、手元で瞬時に音響制御。参加者を待たせることなくスムーズな会議進行が可能になりました。
定型作業の完全自動化
メール・チャット定型文の効率化
22ヶ月の使用で最も効果を実感したのがこの機能:
登録済み定型文(一部)
- 会議招待メールテンプレート
- プロジェクト進捗報告フォーマット
- 日報・週報のひな型
- 謝罪・お礼メールの定型句
1ボタン押下で定型文が自動入力され、Enter送信まで完了。メール作成時間が平均60%短縮されています。
プロジェクト管理での専門活用
複数プロジェクト間の瞬間切替
プロファイル自動切替機能の威力
各プロジェクト専用のボタン設定を作成し、プロジェクトフォルダを開くと自動的に対応する設定に切替:
プロジェクトA専用設定
- 専用Excel・PowerPointファイル
- プロジェクト関連者のTeamsチャット
- 関連する参考サイト・資料
- プロジェクト固有のテンプレート
プロジェクト切替時の「どこに何があったっけ?」問題を完全に解決しました。
データ分析作業の劇的効率化
Excel作業でのダイヤル活用
数値調整やズーム操作をダイヤルに割当:
- セルの拡大・縮小:ダイヤル回転でスムーズに調整
- グラフサイズ調整:マウス操作不要でサイズ変更
- フィルター設定:よく使う条件を1ボタン実行
細かなマウス操作が不要になり、集中力を維持したまま作業継続できるようになりました。
想定外の活用シーン発見
在宅勤務での環境制御
スマートデバイス連携の発見
当初想定していなかった活用法として、スマートホーム機器との連携が非常に実用的でした:
照明・空調の業務連動制御
- 会議開始時:照明を明るく、エアコンを静音モードに
- 集中作業時:照明をウォームトーン、BGMを低音量で再生
- 休憩時:照明を暖色、リラックス音楽を再生
業務の流れに応じた環境制御で、切り替えストレスを大幅軽減。意外な副次効果として、生活リズムの改善も実感しています。
クリエイティブ業務での限定活用
非専門クリエイター作業での効果
コンサル業務で必要な簡易的なクリエイティブ作業でも威力を発揮:
PowerPoint資料作成
- よく使う図形・アイコンを1ボタン挿入
- テンプレートレイアウトの瞬間適用
- 文字サイズ・色変更をダイヤルで調整
簡易画像編集
- リサイズ・トリミングの定型処理
- 透かし・ロゴ挿入の自動化
- ファイル形式変換・圧縮処理
専門的なクリエイター向け機能の一部だけでも、一般業務の質向上に十分貢献しています。
長期使用で判明した優れた点
1. 拡張性・カスタマイズ性(★★★★★)
プラグインエコシステムの充実
導入当初と比較して、ビジネス向けプラグインが大幅に増加:
- Microsoft Office連携プラグイン
- Zoom・Teams専用コントロール
- Slack・Discord業務チャット連携
- タスク管理ツール(Notion、Trello)連携
常に進化し続けるエコシステムにより、デバイスの価値が経時的に向上しています。
2. 操作の直感性・視認性(★★★★★)
LCDボタンの圧倒的優位性
各ボタンに機能名・アイコン・状態を表示できるため:
- 操作ミスの激減:押し間違いがほぼゼロに
- 学習コストの軽減:新しい設定もすぐに覚えられる
- 状態確認の容易さ:マイクON/OFF等がひと目で分かる
3. 耐久性・安定性(★★★★☆)
22ヶ月使用での品質維持
毎日8時間以上使用しているにも関わらず:
- ボタンの反応性:劣化なし、初期品質を維持
- LCD表示品質:色あせや輝度低下なし
- ダイヤルの精度:滑らかな回転感を保持
USB-C接続の安定性も高く、接続トラブルは皆無です。
気になった点・改善要望
1. 初期設定の学習コスト(★★☆☆☆)
カスタマイズの複雑さ
豊富な機能ゆえに、初期設定に相当な時間を要します:
- 基本設定完了:約2-3時間
- 本格活用開始:約1週間の試行錯誤
- 最適化完了:約1ヶ月の使い込み
設定に慣れるまでの期間は、確実に「使わない期間」が発生する点は要注意。
2. デスクスペースの占有(★★★☆☆)
設置場所の制約
140×138mmのフットプリントは意外と大きく:
- キーボード・マウスとの配置バランス調整が必要
- 手の届く範囲に設置する必要性
- ケーブル管理の煩雑さ
コンパクトなデスク環境では、配置に工夫が必要です。
3. アプリケーション依存の制限(★★☆☆☆)
対応アプリの偏り
Microsoft Office、Adobe製品等のメジャーアプリは充実していますが:
- 業界特有のソフト対応が限定的
- Web版アプリ(Google Workspace等)での機能制限
- カスタムアプリとの連携には技術知識が必要
他デバイスとの比較検討
一般的なマクロキーボード vs Stream Deck +
比較項目 | マクロキーボード | Stream Deck + |
---|---|---|
視認性 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
柔軟性 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
価格 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
学習コスト | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
拡張性 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
Stream Deck他モデルとの比較
Stream Deck MK.2(15ボタン)との差別化要因:
- ダイヤル機能:アナログ調整の優位性
- タッチストリップ:スライダー操作の便利さ
- コンパクト性:デスクスペース効率の良さ
非クリエイターにとっては、ボタン数よりもダイヤル機能の恩恵が大きく、8ボタンでも十分実用的です。
★総合評価
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
作業効率向上 | ★★★★★ | 定型作業の自動化により明確な時短効果を実感。22ヶ月使用で効果は持続 |
操作性・使いやすさ | ★★★★☆ | LCDボタンの視認性は抜群。ダイヤル操作も直感的で優秀 |
拡張性・カスタマイズ | ★★★★★ | プラグインの充実度は期待以上。ビジネス用途での選択肢も豊富 |
学習コスト | ★★☆☆☆ | 初期設定と慣れるまでに時間を要する。1ヶ月程度の投資期間が必要 |
コストパフォーマンス | ★★★☆☆ | 35,000円は決して安くないが、長期的な時短効果を考慮すれば妥当 |
耐久性・品質 | ★★★★★ | 22ヶ月のヘビーユースでも品質劣化なし。Elgato品質の信頼性を実感 |
総合評価:★★★★☆(4.2/5.0)
クリエイター向けと思われがちだが、一般的なPC作業でも十分に効果を発揮する優秀なデバイス。
まとめ|22ヶ月で分かった「普通のPC作業」での真価
この製品の最大の価値
Elgato Stream Deck +の真の価値は、「作業の認知負荷軽減」にあります。複雑なショートカットキーを覚える必要がなく、視覚的に分かりやすいボタン操作で業務を進められることで、本来集中すべき思考作業にリソースを集中できるようになりました。
クリエイター向けの高機能な部分は確かにありますが、その基盤となる「操作の簡易化・自動化」という価値は、どんな職種でも恩恵を受けられます。
22ヶ月使用の個人的総括
導入当初は「本当に使いこなせるだろうか」と不安でしたが、現在では一日はStream Deck +を使うことから始まるほど業務に欠かせない存在になっています。
特に印象的だったのは、3ヶ月目以降の効果拡大。初期設定を覚えた後、業務パターンに応じた細かなカスタマイズを重ねることで、効率化効果が指数関数的に向上しました。
投資対効果を時給換算すると、導入6ヶ月目で投資回収完了、現在では明確な利益を生み続けています。
強く推奨する方:
- 定型作業が多く、効率化による時短効果を実感しやすい方
- 複数のアプリケーションを頻繁に切り替える業務の方
- リモートワーク中心で、Web会議やデジタルツールを多用する方
- 初期投資を回収できる程度にPC作業時間が長い方
慎重な検討をおすすめする方:
- PC作業時間が1日2-3時間程度の方
- カスタマイズや設定変更を好まない方
理想的な作業環境をさらに追求したい方は、基盤となるコンテッサセコンダや4枚モニター構成と組み合わせることで、相乗効果を期待できます。
一緒に効率的なリモートワーク環境を構築していきましょう!
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