「この本、めちゃくちゃいいよ。絶対読んだほうがいい」
7~8年前、当時の先輩からそう勧められたのが、この『顧客体験の教科書』でした。
ITコンサルとして、CX(カスタマーエクスペリエンス)プロジェクトに携わることが増えてきた頃。顧客満足度を上げるための施策を考える日々でしたが、「なぜ良いサービスを提供しているのに、顧客が満足しないのか?」という疑問がずっと頭にありました。
その答えが、この本にすべて書かれていました。
「グッドマンの法則」で知られるジョン・グッドマン氏が、40年以上のコンサルティング経験から導き出した顧客体験の本質。
7~8年経った今でも、仕事でも生活でも活用し続けている一冊です。
この記事では、『顧客体験の教科書』の内容と、ITコンサルとして実際にどう活用したか、そして生活にどう応用したかを、実践レビューとしてご紹介します。
『顧客体験の教科書』基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書籍名 | 顧客体験の教科書―収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方 |
| 著者 | ジョン・グッドマン(John Goodman) |
| 訳者 | 畑中伸介 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 発行年 | 2016年8月 |
| ページ数 | 435ページ |
| 価格 | 2,860円(税込) |
| 形式 | 単行本・Kindle版 |
こんな人におすすめ
- ✅ CX(カスタマーエクスペリエンス)の基本を学びたい人
- ✅ 顧客満足度を上げたいが、何をすればいいか分からない人
- ✅ マーケティング・カスタマーサクセス担当者
- ✅ ITコンサル・プロジェクトマネージャー
- ✅ 「良いサービスを提供しているのに顧客が満足しない」と悩んでいる人
- ✅ 時間管理・生活改善に顧客体験の考え方を応用したい人
この本との出会い:先輩の一言がきっかけ
7~8年前、ITコンサルとして顧客のデジタルマーケティング改善プロジェクトを担当していた頃。
「Webサイトを改善したのに、顧客満足度が上がらない」 「コールセンターの対応時間を短縮したのに、クレームが増えた」
そんな矛盾した状況に直面していました。
そんな時、先輩から勧められたのがこの本でした。
「この本、めちゃくちゃいいよ。絶対読んだほうがいい。CXの本質が全部書いてある」
先輩の言葉通り、読んでみると「そういうことだったのか!」と目から鱗が落ちる内容ばかりでした。
最も印象に残った2つの視点
① CXから見る顧客像:「顧客は説明書を読まない」
最も衝撃的だったのは、この一言でした。
「顧客は説明書を読まない。企業が提供した情報を理解しようとしない」
これは、顧客を批判しているのではなく、「顧客の現実を理解しなければならない」というメッセージです。
実務での気づき
プロジェクトで、こんなことがありました:
- クライアント:「FAQページを充実させたのに、同じ質問がコールセンターに来続ける」
- 私:「FAQページ、どこにありますか?」
- クライアント:「フッターの『よくある質問』から見られます」
問題は明らかでした。
- 顧客は困った時、フッターまでスクロールしない
- 「よくある質問」という言葉では、自分の問題が解決できるか分からない
- 顧客は「問題を解決したい」のであって、「FAQを読みたい」わけではない
本の教え
グッドマン氏は、こう言います:
- 顧客は「問題解決」を求めている
- 企業が提供した情報を探す努力はしない
- 顧客の行動パターンに合わせて、情報を届けなければならない
この視点を持つことで、「顧客視点」の意味が根本的に変わりました。
② なぜ良いサービスが素晴らしい顧客体験につながらないのか
もう1つ、最も印象に残ったのがこの章です。
多くの企業が陥る罠:
- 「迅速に対応した」のに、顧客は不満
- 「丁寧に説明した」のに、顧客は理解していない
- 「問題を解決した」のに、顧客は二度と来ない
グッドマン氏の答え:「顧客の事前期待」とのギャップ
顧客体験の質は、「実際の体験」ではなく、「事前期待と実際の体験のギャップ」で決まる。
| 状況 | 事前期待 | 実際の体験 | 結果 |
|---|---|---|---|
| ケース1 | 即日対応してくれる | 3日かかった | 不満 |
| ケース2 | 1週間かかると思っていた | 3日で対応 | 満足 |
同じ「3日対応」でも、顧客の満足度は正反対です。
実務での活用
この視点を持つことで、プロジェクトの改善策が変わりました:
Before(従来の改善策):
- 対応時間を短縮する
- より丁寧に説明する
After(事前期待を管理する改善策):
- 問い合わせ時に「3営業日以内に回答します」と明示
- 対応中に「現在こういう状況です」と進捗を伝える
- 解決後に「今後同じことが起きないよう、こう対策しました」と説明
結果、対応時間は変わらないのに、顧客満足度が大幅に向上しました。
実務で活用した具体例:ECサイト改善プロジェクト
プロジェクト概要
- 課題: ECサイトの購入率が低い
- クライアントの仮説: サイトデザインが古い
- 私の提案: 顧客体験の全体を見直す
『顧客体験の教科書』を活用した分析
ステップ1:顧客の事前期待を把握
顧客アンケートとインタビューで判明したこと:
- 「送料がいくらか分からない」(不安)
- 「いつ届くか分からない」(不安)
- 「返品できるか分からない」(不安)
顧客の事前期待:「購入前に、すべての情報が明確になっていること」
ステップ2:予期しない問題を予測
カスタマーサポートのログを分析:
- 「サイズが合わなかった」(30%)
- 「思っていた色と違った」(20%)
- 「届くのが遅かった」(15%)
顧客は「購入後の問題」を予測していない
ステップ3:改善策の実行
| 改善内容 | 狙い |
|---|---|
| カート画面で送料・配送日・返品ポリシーを明示 | 事前期待を適切に設定 |
| 商品ページに「サイズ感レビュー」を追加 | 予期しない問題を予防 |
| 発送後に「配送状況トラッキング」を自動送信 | 不安を解消 |
結果
- 購入率:15%向上
- 問い合わせ件数:30%削減
- リピート率:20%向上
デザインは一切変えていません。
「顧客体験の設計」だけで、劇的に改善しました。
応用例:家族とのコミュニケーション
問題
- 妻に「今日の夕飯、何がいい?」と聞いても「なんでもいい」と返ってくる
- 結局決められず、イライラが募る
『顧客体験の教科書』の視点で分析
問題の本質:「事前期待」が曖昧
- 妻の事前期待:「私が食べたいものを察してほしい」
- 私の事前期待:「具体的な希望を言ってほしい」
改善策
「事前期待」を明確にする質問に変更:
- Before:「今日の夕飯、何がいい?」
- After:「今日はお肉と魚、どっちが食べたい気分?」
結果:スムーズに決まるようになり、ストレスが激減しました。
グッドマンの法則:クレームを売上に変える
この本で有名なのが「グッドマンの法則」です。
グッドマンの法則(第一の法則)
「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」
数値で見る衝撃の事実
| 顧客の状態 | 再購入率 |
|---|---|
| 不満があるが申し立てない顧客 | 約9% |
| 不満を申し立てたが解決に不満な顧客 | 約19% |
| 不満を申し立て、解決に満足した顧客 | 約54% |
| 不満がない顧客 | 約82% |
驚くべきことに、「クレームを言って満足した顧客」は、「不満を言わない顧客」より6倍も再購入率が高いのです。
実務での活用
この法則を知ってから、クレーム対応の考え方が変わりました。
- Before:「クレームは減らすべきもの」
- After:「クレームは顧客を熱狂的ファンに変えるチャンス」
実際、プロジェクトで:
- クレーム対応時に「ご不便をおかけして申し訳ありません。改善します」で終わらせない
- 「同じことが起きないよう、こう改善しました」と具体的に伝える
- 「ご意見のおかげで、サービスが良くなりました。ありがとうございます」と感謝を伝える
結果、クレームを言った顧客が、最も熱心なリピーターになるケースが増えました。
この本の良い点・気になる点
良い点(5つ)
① CXの全体像が体系的に学べる
- 理論だけでなく、実践的な手法も豊富
- 初心者でも理解しやすい構成
② 実務に直結する内容
- すぐにプロジェクトで使える
- 事例が豊富で、自社に応用しやすい
③ 「グッドマンの法則」の信頼性
- 40年以上の調査データに基づく、消費者苦情処理調査の実績
④ 顧客の本質を深く理解できる
- 「顧客は説明書を読まない」など、本質的な洞察
- 「良いサービス≠良い体験」という気づき
⑤ 生活にも応用できる
- 家族とのコミュニケーション
- 時間管理
- 自己管理
気になる点(2つ)
① ページ数が多い(437ページ)
- 読み切るのに時間がかかる
- ただし、章ごとに独立しているので、必要な部分から読める
② 翻訳がやや堅い
- 原書の専門用語がそのまま使われている箇所がある
- ただし、内容の質は非常に高い
★総合評価:7年経っても色褪せない名著
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 実務への応用度 | ★★★★★ | すぐにプロジェクトで使える。7年経った今でも現場で活用している |
| CX理解の深さ | ★★★★★ | 「良いサービス≠良い体験」など、本質的な洞察が満載。CXの全体像が掴める |
| 読みやすさ | ★★★★☆ | 437ページと長いが、章ごとに独立。必要な部分から読める。翻訳はやや堅い |
| 事例の豊富さ | ★★★★★ | BtoC・BtoBの事例が豊富。自社に応用しやすい具体例が多数 |
| 生活への応用度 | ★★★★★ | 時間管理・家族コミュニケーションなど、日常生活にも応用可能 |
| コストパフォーマンス | ★★★★★ | 2,860円で得られる知見は計り知れない。7年使い続けている投資価値 |
総合評価:★★★★☆(4.8/5.0)
CXを学ぶなら必読の一冊。仕事でも生活でも活用できる実践的名著です。
まとめ:7年経っても現役で活用している理由
『顧客体験の教科書』を読んでから7~8年。
今でも、プロジェクトでこの本を思い出すことがあります。
この本から学んだ3つの教訓
1. 「良いサービス」と「良い体験」は違う
企業が「良いサービス」だと思っていても、顧客が「良い体験」と感じるとは限らない。
重要なのは、顧客の事前期待を理解し、適切に管理すること。
2. 「顧客は説明書を読まない」を前提に設計する
顧客は企業が提供した情報を探す努力はしない。
顧客の行動パターンに合わせて、情報を届けなければならない。
3. クレームは「顧客を熱狂的ファンに変えるチャンス」
グッドマンの法則が示す通り、クレーム対応に満足した顧客は、最も再購入率が高い。
クレームを恐れるのではなく、積極的に声を聞き、誠実に対応する。
こんな人に読んでほしい
- ✅ CXの基本を学びたい人
- 体系的にCXを理解できる
- ✅ 顧客満足度を上げたいマーケティング担当者
- 実践的な手法が満載
- ✅ ITコンサル・プロジェクトマネージャー
- プロジェクトで即活用できる
- ✅ 「良いサービスを提供しているのに顧客が満足しない」と悩んでいる人
- 問題の本質が理解できる
- ✅ 時間管理・生活改善に興味がある人
- 顧客体験の考え方を自分の生活に応用できる
7~8年前、先輩に勧められたこの本は、私の仕事と生活を変えた一冊です。
一緒に、顧客体験の本質を学び、仕事と生活をカイゼンしていきましょう!

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