『顧客体験の教科書』7年実践レビュー|コンサルが仕事と生活に活かした1冊

CX・マーケティング
『顧客体験の教科書』7年実践レビュー|コンサルが仕事と生活に活かした1冊

「この本、めちゃくちゃいいよ。絶対読んだほうがいい」

7~8年前、当時の先輩からそう勧められたのが、この『顧客体験の教科書』でした。

ITコンサルとして、CX(カスタマーエクスペリエンス)プロジェクトに携わることが増えてきた頃。顧客満足度を上げるための施策を考える日々でしたが、「なぜ良いサービスを提供しているのに、顧客が満足しないのか?」という疑問がずっと頭にありました。

その答えが、この本にすべて書かれていました。

「グッドマンの法則」で知られるジョン・グッドマン氏が、40年以上のコンサルティング経験から導き出した顧客体験の本質

7~8年経った今でも、仕事でも生活でも活用し続けている一冊です。

この記事では、『顧客体験の教科書』の内容と、ITコンサルとして実際にどう活用したか、そして生活にどう応用したかを、実践レビューとしてご紹介します。

  1. 『顧客体験の教科書』基本情報
    1. こんな人におすすめ
  2. この本との出会い:先輩の一言がきっかけ
  3. 最も印象に残った2つの視点
    1. ① CXから見る顧客像:「顧客は説明書を読まない」
      1. 実務での気づき
      2. 本の教え
    2. ② なぜ良いサービスが素晴らしい顧客体験につながらないのか
      1. グッドマン氏の答え:「顧客の事前期待」とのギャップ
      2. 実務での活用
  4. 実務で活用した具体例:ECサイト改善プロジェクト
    1. プロジェクト概要
    2. 『顧客体験の教科書』を活用した分析
      1. ステップ1:顧客の事前期待を把握
      2. ステップ2:予期しない問題を予測
      3. ステップ3:改善策の実行
      4. 結果
    3. 応用例:家族とのコミュニケーション
      1. 問題
      2. 『顧客体験の教科書』の視点で分析
      3. 改善策
  5. グッドマンの法則:クレームを売上に変える
    1. グッドマンの法則(第一の法則)
      1. 数値で見る衝撃の事実
    2. 実務での活用
  6. この本の良い点・気になる点
    1. 良い点(5つ)
      1. ① CXの全体像が体系的に学べる
      2. ② 実務に直結する内容
      3. ③ 「グッドマンの法則」の信頼性
      4. ④ 顧客の本質を深く理解できる
      5. ⑤ 生活にも応用できる
    2. 気になる点(2つ)
      1. ① ページ数が多い(437ページ)
      2. ② 翻訳がやや堅い
  7. ★総合評価:7年経っても色褪せない名著
  8. まとめ:7年経っても現役で活用している理由
    1. この本から学んだ3つの教訓
      1. 1. 「良いサービス」と「良い体験」は違う
      2. 2. 「顧客は説明書を読まない」を前提に設計する
      3. 3. クレームは「顧客を熱狂的ファンに変えるチャンス」
    2. こんな人に読んでほしい

『顧客体験の教科書』基本情報

項目内容
書籍名顧客体験の教科書―収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方
著者ジョン・グッドマン(John Goodman)
訳者畑中伸介
出版社東洋経済新報社
発行年2016年8月
ページ数435ページ
価格2,860円(税込)
形式単行本・Kindle版

こんな人におすすめ

  • ✅ CX(カスタマーエクスペリエンス)の基本を学びたい人
  • ✅ 顧客満足度を上げたいが、何をすればいいか分からない人
  • ✅ マーケティング・カスタマーサクセス担当者
  • ✅ ITコンサル・プロジェクトマネージャー
  • ✅ 「良いサービスを提供しているのに顧客が満足しない」と悩んでいる人
  • ✅ 時間管理・生活改善に顧客体験の考え方を応用したい人

この本との出会い:先輩の一言がきっかけ

7~8年前、ITコンサルとして顧客のデジタルマーケティング改善プロジェクトを担当していた頃。

「Webサイトを改善したのに、顧客満足度が上がらない」 「コールセンターの対応時間を短縮したのに、クレームが増えた」

そんな矛盾した状況に直面していました。

そんな時、先輩から勧められたのがこの本でした。

「この本、めちゃくちゃいいよ。絶対読んだほうがいい。CXの本質が全部書いてある」

先輩の言葉通り、読んでみると「そういうことだったのか!」と目から鱗が落ちる内容ばかりでした。

最も印象に残った2つの視点

① CXから見る顧客像:「顧客は説明書を読まない」

最も衝撃的だったのは、この一言でした。

「顧客は説明書を読まない。企業が提供した情報を理解しようとしない」

これは、顧客を批判しているのではなく、「顧客の現実を理解しなければならない」というメッセージです。

実務での気づき

プロジェクトで、こんなことがありました:

  • クライアント:「FAQページを充実させたのに、同じ質問がコールセンターに来続ける」
  • 私:「FAQページ、どこにありますか?」
  • クライアント:「フッターの『よくある質問』から見られます」

問題は明らかでした。

  • 顧客は困った時、フッターまでスクロールしない
  • 「よくある質問」という言葉では、自分の問題が解決できるか分からない
  • 顧客は「問題を解決したい」のであって、「FAQを読みたい」わけではない

本の教え

グッドマン氏は、こう言います:

  • 顧客は「問題解決」を求めている
  • 企業が提供した情報を探す努力はしない
  • 顧客の行動パターンに合わせて、情報を届けなければならない

この視点を持つことで、「顧客視点」の意味が根本的に変わりました。

② なぜ良いサービスが素晴らしい顧客体験につながらないのか

もう1つ、最も印象に残ったのがこの章です。

多くの企業が陥る罠:

  • 「迅速に対応した」のに、顧客は不満
  • 「丁寧に説明した」のに、顧客は理解していない
  • 「問題を解決した」のに、顧客は二度と来ない

グッドマン氏の答え:「顧客の事前期待」とのギャップ

顧客体験の質は、「実際の体験」ではなく、「事前期待と実際の体験のギャップ」で決まる

状況事前期待実際の体験結果
ケース1即日対応してくれる3日かかった不満
ケース21週間かかると思っていた3日で対応満足

同じ「3日対応」でも、顧客の満足度は正反対です。

実務での活用

この視点を持つことで、プロジェクトの改善策が変わりました:

Before(従来の改善策):

  • 対応時間を短縮する
  • より丁寧に説明する

After(事前期待を管理する改善策):

  • 問い合わせ時に「3営業日以内に回答します」と明示
  • 対応中に「現在こういう状況です」と進捗を伝える
  • 解決後に「今後同じことが起きないよう、こう対策しました」と説明

結果、対応時間は変わらないのに、顧客満足度が大幅に向上しました。

実務で活用した具体例:ECサイト改善プロジェクト

プロジェクト概要

  • 課題: ECサイトの購入率が低い
  • クライアントの仮説: サイトデザインが古い
  • 私の提案: 顧客体験の全体を見直す

『顧客体験の教科書』を活用した分析

ステップ1:顧客の事前期待を把握

顧客アンケートとインタビューで判明したこと:

  • 「送料がいくらか分からない」(不安)
  • 「いつ届くか分からない」(不安)
  • 「返品できるか分からない」(不安)

顧客の事前期待:「購入前に、すべての情報が明確になっていること」

ステップ2:予期しない問題を予測

カスタマーサポートのログを分析:

  • 「サイズが合わなかった」(30%)
  • 「思っていた色と違った」(20%)
  • 「届くのが遅かった」(15%)

顧客は「購入後の問題」を予測していない

ステップ3:改善策の実行

改善内容狙い
カート画面で送料・配送日・返品ポリシーを明示事前期待を適切に設定
商品ページに「サイズ感レビュー」を追加予期しない問題を予防
発送後に「配送状況トラッキング」を自動送信不安を解消

結果

  • 購入率:15%向上
  • 問い合わせ件数:30%削減
  • リピート率:20%向上

デザインは一切変えていません。

「顧客体験の設計」だけで、劇的に改善しました。

応用例:家族とのコミュニケーション

問題

  • 妻に「今日の夕飯、何がいい?」と聞いても「なんでもいい」と返ってくる
  • 結局決められず、イライラが募る

『顧客体験の教科書』の視点で分析

問題の本質:「事前期待」が曖昧

  • 妻の事前期待:「私が食べたいものを察してほしい」
  • 私の事前期待:「具体的な希望を言ってほしい」

改善策

「事前期待」を明確にする質問に変更:

  • Before:「今日の夕飯、何がいい?」
  • After:「今日はお肉と魚、どっちが食べたい気分?」

結果:スムーズに決まるようになり、ストレスが激減しました。

グッドマンの法則:クレームを売上に変える

この本で有名なのが「グッドマンの法則」です。

グッドマンの法則(第一の法則)

「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」

数値で見る衝撃の事実

顧客の状態再購入率
不満があるが申し立てない顧客約9%
不満を申し立てたが解決に不満な顧客約19%
不満を申し立て、解決に満足した顧客約54%
不満がない顧客約82%

驚くべきことに、「クレームを言って満足した顧客」は、「不満を言わない顧客」より6倍も再購入率が高いのです。

実務での活用

この法則を知ってから、クレーム対応の考え方が変わりました。

  • Before:「クレームは減らすべきもの」
  • After:「クレームは顧客を熱狂的ファンに変えるチャンス」

実際、プロジェクトで:

  • クレーム対応時に「ご不便をおかけして申し訳ありません。改善します」で終わらせない
  • 「同じことが起きないよう、こう改善しました」と具体的に伝える
  • 「ご意見のおかげで、サービスが良くなりました。ありがとうございます」と感謝を伝える

結果、クレームを言った顧客が、最も熱心なリピーターになるケースが増えました。

この本の良い点・気になる点

良い点(5つ)

① CXの全体像が体系的に学べる

  • 理論だけでなく、実践的な手法も豊富
  • 初心者でも理解しやすい構成

② 実務に直結する内容

  • すぐにプロジェクトで使える
  • 事例が豊富で、自社に応用しやすい

③ 「グッドマンの法則」の信頼性

  • 40年以上の調査データに基づく、消費者苦情処理調査の実績

④ 顧客の本質を深く理解できる

  • 「顧客は説明書を読まない」など、本質的な洞察
  • 「良いサービス≠良い体験」という気づき

⑤ 生活にも応用できる

  • 家族とのコミュニケーション
  • 時間管理
  • 自己管理

気になる点(2つ)

① ページ数が多い(437ページ)

  • 読み切るのに時間がかかる
  • ただし、章ごとに独立しているので、必要な部分から読める

② 翻訳がやや堅い

  • 原書の専門用語がそのまま使われている箇所がある
  • ただし、内容の質は非常に高い

★総合評価:7年経っても色褪せない名著

評価項目評価コメント
実務への応用度★★★★★すぐにプロジェクトで使える。7年経った今でも現場で活用している
CX理解の深さ★★★★★「良いサービス≠良い体験」など、本質的な洞察が満載。CXの全体像が掴める
読みやすさ★★★★☆437ページと長いが、章ごとに独立。必要な部分から読める。翻訳はやや堅い
事例の豊富さ★★★★★BtoC・BtoBの事例が豊富。自社に応用しやすい具体例が多数
生活への応用度★★★★★時間管理・家族コミュニケーションなど、日常生活にも応用可能
コストパフォーマンス★★★★★2,860円で得られる知見は計り知れない。7年使い続けている投資価値

総合評価:★★★★☆(4.8/5.0)

CXを学ぶなら必読の一冊。仕事でも生活でも活用できる実践的名著です。

まとめ:7年経っても現役で活用している理由

『顧客体験の教科書』を読んでから7~8年。

今でも、プロジェクトでこの本を思い出すことがあります。

この本から学んだ3つの教訓

1. 「良いサービス」と「良い体験」は違う

企業が「良いサービス」だと思っていても、顧客が「良い体験」と感じるとは限らない。

重要なのは、顧客の事前期待を理解し、適切に管理すること。

2. 「顧客は説明書を読まない」を前提に設計する

顧客は企業が提供した情報を探す努力はしない。

顧客の行動パターンに合わせて、情報を届けなければならない。

3. クレームは「顧客を熱狂的ファンに変えるチャンス」

グッドマンの法則が示す通り、クレーム対応に満足した顧客は、最も再購入率が高い。

クレームを恐れるのではなく、積極的に声を聞き、誠実に対応する。

こんな人に読んでほしい

  • CXの基本を学びたい人
    • 体系的にCXを理解できる
  • 顧客満足度を上げたいマーケティング担当者
    • 実践的な手法が満載
  • ITコンサル・プロジェクトマネージャー
    • プロジェクトで即活用できる
  • 「良いサービスを提供しているのに顧客が満足しない」と悩んでいる人
    • 問題の本質が理解できる
  • 時間管理・生活改善に興味がある人
    • 顧客体験の考え方を自分の生活に応用できる

7~8年前、先輩に勧められたこの本は、私の仕事と生活を変えた一冊です。

一緒に、顧客体験の本質を学び、仕事と生活をカイゼンしていきましょう!


カイゼンパパのプロフィール

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