「当たり前のことができていれば、仕事で成果は出せる」
そう言われても、その「当たり前」が何なのか、具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
約1年前、私もそんな疑問を抱えながら本書を手に取りました。コンサルティング業界で10年以上働いた経験を持つ私ですが、「自分は本当に当たり前のことを徹底できているのか?」という問いに明確に答えられなかったのです。
現在、コンサルタントとして働く傍ら、後輩の育成にも携わる立場として、「仕事の基本」を言語化する重要性を日々感じています。自分自身の振り返りと、後輩への指導のヒントを求めて、この本を読み進めました。
ビジネス書シリーズとして、今回は西原亮氏の「コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前」を、実体験と照らし合わせながら徹底レビューします。
こんな人におすすめ
- 仕事の基本を体系的に学び直したい方
- コンサル業界志望者・転職を考えている方
- 後輩や部下の育成に悩んでいる方
- 「仕事ができる人」との違いを知りたい方
- 具体的な仕事術を実践的に学びたい方
書籍の基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 書籍名 | コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前 |
| 著者 | 西原亮(にしはら・りょう) |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 発売日 | 2024年11月27日 |
| ページ数 | 約280ページ |
| 価格 | 1,760円(税込) |
| 形式 | 単行本・電子書籍 |
著者の西原亮氏は、慶應義塾大学卒業後、ニューヨークに拠点を置く経営コンサルティング会社で5年間勤務。現在は株式会社明治クッカーの代表取締役として活躍されています。
この本を読んだきっかけ
約1年前、私がこの本を手に取ったのは、以前執筆したコンサル転職者の面接評価ポイントとコンサル1年目が学ぶこと書評の記事で「素直さ」の重要性について紹介しましたが、以前からこの「素直さ」というのはとても大切な要素だと考えていました。
「わかったふりをしない」という姿勢は、まさに素直さの核心です。本書の第1章でこのテーマが取り上げられていることを知り、自分の考えと著者の経験を照らし合わせたいと思ったのです。
本書の構成と「当たり前」
本書は全7章で構成され、106の「当たり前」が体系的にまとめられています。
全体構造
- 第1章:考え方の当たり前(基本姿勢・思考法)
- 第2章:コミュニケーションの当たり前(伝え方・聞き方)
- 第3章:チームワークの当たり前(協働・信頼構築)
- 第4章:TODOの当たり前(タスク管理・段取り)
- 第5章:会議の当たり前(会議運営・ファシリテーション)
- 第6章:ノート術の当たり前(記録・整理)
- 第7章:インプットの当たり前(学び方)
各章は10~20の具体的な「当たり前」で構成されており、それぞれに実践例や失敗例が添えられています。
特に印象に残った3つの「当たり前」
1. 「わかったふり」をしない(第1章)
本書で最も強調されているのが、この「わかったふりをしない」という姿勢です。
私が以前の記事で書いた素直さの重要性と完全に一致する内容で、改めてその正しさを確信しました。
なぜ「わかったふり」が危険なのか:
- 誤った理解のまま作業を進めてしまう
- 後で大きな手戻りが発生する
- クライアントや上司からの信頼を失う
- チーム全体の生産性を下げる
本書では「わからないことを『わからない』と言える勇気こそが、仕事ができる人の第一条件」と明言されています。
2. 「いきなり手を動かさない」(第1章)
これも第1章で強調されている重要な原則です。
「いきなり手を動かさない」の本質:
- まず全体像と目的を理解する
- ゴールから逆算して道筋を考える
- 最短ルートを見極めてから作業開始
- 無駄な作業を削減し、効率を最大化
私自身、この「当たり前」ができていない人を数多く見てきました。特に新人や若手社員に多いのが、指示を受けた瞬間にExcelを開いてしまう、資料作成を始めてしまう、というパターンです。
悪い例:
- 上司から「競合分析をしてほしい」と言われて、すぐにWebで情報収集を始める
- 何のための分析か、どこまで深掘りするか、アウトプットイメージを確認せずに作業開始
- 結果:求められていたのは「3社の価格比較」だけだったのに、30ページの詳細レポートを作成してしまう
良い例:
- まず「分析の目的」「求められるアウトプット」「期限」「粒度」を確認
- 全体の作業工程を5分で設計
- 最短ルートで必要な情報だけを収集
- 結果:1~2時間程度で的確な分析資料を完成
本書では「最初の5分で考える時間を取るだけで、作業時間が半分になる」と述べられており、私の経験とも完全に一致します。
3. 「事実と主観を切り離す」(第1章)
論理的思考の基本中の基本ですが、実践できている人は意外と少ないです。
事実と主観の混同例:
- ❌「この商品は売れていない」(主観的判断)
- ⭕「この商品の月間販売数は100個で、目標の200個に対して50%の達成率」(事実ベース)
コンサルティングの現場では、「それは事実ですか?それとも推測ですか?」という問いが常に飛び交います。事実ベースで議論することで、感情的な対立を避け、建設的な議論が可能になります。
この本の優れている点
1. コンサル業界以外でも活用できる普遍性
本書のタイトルには「コンサル時代に教わった」とありますが、内容はすべての職種・業界で活用できる普遍的な仕事術です。
営業、マーケティング、企画、エンジニア、事務職など、どんな職種でも「わかったふりをしない」「いきなり手を動かさない」「事実と主観を切り離す」という原則は有効です。
2. 約280ページながら読みやすい
文章が平易で、見出しも整理されているため、スラスラ読めます。私は1週間かからずに読み終えましたが、集中すれば1~2日でも読破可能です。
各章が独立しているため、気になる章から読み始めることもできます。
3. 自己診断ツールとしても優秀
「当たり前」を読み進めながら、「自分はできているか?」とチェックリストとして活用できます。私自身、約80%は実践できているものの、残り20%は改善の余地があることに気づきました。
気になる点・デメリット
正直にお伝えすると、大きな不満はありませんが、あえて挙げるなら以下の点です。
1. コンサル業界の前提知識がないと理解しづらい箇所がある
一部の例示で、コンサルティングプロジェクトの文脈が前提となっている箇所があります。ただし、全体の10%程度で、大半は一般的なビジネスシーンを想定した内容です。
2. すべてを一度に実践するのは困難
内容が豊富すぎるがゆえに、「どれから始めればいいのか」迷う可能性があります。私のおすすめは、まず第1章から実践することが良いかと思いました。
3. すでに仕事経験が豊富な人には「当たり前」過ぎる内容も
10年以上のビジネス経験がある方にとっては、「知っている内容」も多いかもしれません。ただし、「知っている」と「実践できている」は別物。改めて自分の仕事を見直すきっかけとしては有効です。
実践して変わったこと
本書を読んで約1年、私が意識的に実践し、効果を実感しているのは以下の3点です。
1. 「わかったふりをしない」の徹底
元々徹底していましたが、改めて会議やクライアントとの打ち合わせで、少しでも疑問があればその場で確認することを意識しています。結果として、手戻りが劇的に減少し、プロジェクトの精度が向上しています。
2. 部下に「いきなり手を動かさない」ようにタスクを振る
タスクを振る際には、内容にもよりますが、まず5~10分間で全体設計を考えるクセをつけるように依頼しています。この5~10分間でレビュー依頼されるまでの期間が30~50%短縮される実感があります。
3. 後輩育成での活用
後輩に「なぜこの作業が必要なのか、まず考えてみて」と問いかけるようになりました。本書の「当たり前」を言語化して伝えることで、後輩の成長速度も上がっています。
★総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 実用性 | ★★★★★ | すぐに実践できる具体例が豊富。明日から使えるレベル |
| 普遍性 | ★★★★★ | コンサル以外のすべての職種・業界で活用可能 |
| 読みやすさ | ★★★★★ | 平易な文章、整理された構成で280ページがスラスラ読める |
| 独自性 | ★★★★☆ | 「当たり前」を106個に体系化した点は独自。ただし個別の内容は既知のものも |
| 網羅性 | ★★★★★ | 考え方からノート術まで、仕事のあらゆる側面をカバー |
| コストパフォーマンス | ★★★★★ | 1,760円で106の実践的スキルを学べる。自己投資として最高 |
総合評価:4.8 / 5.0
「当たり前」を徹底することの重要性を、体系的に学べる優れたビジネス書。コンサル業界以外の方にも強くおすすめできます。約280ページながら読みやすく、実践的。1,760円という価格で、自分の仕事を根本から見直すきっかけを得られる、コストパフォーマンス抜群の1冊です。
まとめ:「当たり前」を侮らない
この本の最大の価値は、「特別な才能ではなく、当たり前の徹底が成果を生む」という本質を示している点です。
約1年前に本書を読んでから、私は「わかったふりをしない」「いきなり手を動かさない」「事実と主観を切り離す」という3つの原則を特に意識して実践してきました。その結果、プロジェクトの精度向上、作業時間の短縮、後輩育成の効率化という形で、確実に成果が現れています。
「仕事ができる人」と「できない人」の差は、特別なスキルではなく、基本の徹底度にあります。本書は、その「基本」を体系的に、実践的に学べる貴重な1冊です。
こんな方に特におすすめ:
- 仕事の基本を体系的に学び直したい方
- コンサル業界志望者・ビジネススキルを高めたい方
- 後輩や部下の育成に具体的な指針が欲しい方
- 「当たり前」を徹底して成果を上げたい方
一緒に、「当たり前」を徹底して、仕事のクオリティを高めていきましょう!

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