「今年も頑張ったのに、評価面談で上司に伝わらなかった…」
年度末が近づき、私が所属する会社でも今年度の評価を決める時期がやってきました。まずは自己評価を記載し、マネージャーに伝え、すり合わせを行い、最終的に評価会議で評価が確定する——そんな流れの中で、毎年損をしている人を数多く見てきました。
コンサルとして面接官も務める私は、これまで200名以上の候補者と向き合ってきました。その中で気づいたのは、自己評価が下手な人と転職面接で実績をうまく伝えられない人には、共通する問題があるということです。
それは、「やったことをダラダラと並べてしまう」こと。
何の問題があり、それに対してどう対応し、どんな結果が出て、何を学び成長したのか——この構造が見えないと、相手にはピンと来ません。それどころか、「人に伝える能力がない」と判断されてしまう可能性すらあります。
この記事では、年度末の自己評価で損をしないための「成果の伝え方」を、STAR法というフレームワークを使って実践的に解説します。会社での評価だけでなく、転職の面接でも使える内容です。
基本情報:自己評価とは何か?
自己評価の目的
自己評価とは、期初に設定した目標に対して、自分がどれだけ達成できたかを客観的に振り返り、評価者(マネージャー)に伝えるプロセスです。
主な目的は以下の3つです:
- 評価の公平性担保 — 上司が見ていない成果を正しく伝える
- 成長の可視化 — 自分の成長を言語化し、次のステップを明確にする
- コミュニケーション — 上司との認識のズレをすり合わせる
自己評価が失敗する3つのパターン
| 失敗パターン | 問題点 | 具体例 |
|---|---|---|
| ダラダラ羅列型 | やったことを時系列で並べるだけ | 「4月にAプロジェクト、6月にB研修、9月にC対応をしました」 |
| 主観・感情型 | 「頑張った」「大変だった」など感情論 | 「とても大変なプロジェクトでしたが、頑張りました」 |
| 抽象語多用型 | 「貢献した」「改善した」など曖昧な表現 | 「チームに貢献し、業務を改善しました」 |
これらの失敗パターンに共通するのは、「何が問題で、どう行動し、どんな結果を出し、何を学んだのか」という構造が見えないことです。
よくあるNG例:やってはいけない自己評価の書き方
❌ NG例1: 時系列でダラダラ記載
悪い例:
「今年度は、4月から6月にかけてAプロジェクトに参加しました。7月にはBシステムの保守対応を行い、9月にはC研修を受講しました。10月からはDプロジェクトにアサインされ、年度末まで対応しました。」
問題点:
- 何のためにやったのかが不明
- 問題・課題が見えない
- 結果・成果が不明
- 成長ポイントが見えない
❌ NG例2: 感情・主観で語る
悪い例:
「今年度は非常に大変なプロジェクトでしたが、頑張って対応しました。クライアントからも感謝されたと思います。来年度も引き続き頑張ります。」
問題点:
- 「大変」「頑張った」は主観的
- 「感謝された」は推測
- 具体的な行動・成果が不明
- 評価者が判断できない
❌ NG例3: 抽象的な表現の多用
悪い例:
「チームの生産性向上に貢献しました。業務プロセスを改善し、効率化を図りました。今後も継続的に取り組みます。」
問題点:
- 「貢献」「改善」「効率化」が曖昧
- 具体的に何をしたのか不明
- 数値的な成果が見えない
- 再現性が不明
成果を正しく伝える「STAR法」フレームワーク
STAR法とは?
STAR法は、過去の経験や成果を構造化して伝えるためのフレームワークです。Amazonなどの外資系企業でも面接手法として採用されています。
| 要素 | 意味 | 説明 |
|---|---|---|
| S | Situation(状況) | どのような状況・背景だったか |
| T | Task(課題) | 何が問題・課題だったか |
| A | Action(行動) | 自分がどう行動したか(具体的に) |
| R | Result(結果) | どんな結果・成果が出たか(定量・定性) |
さらに、成長を明確にするために「Learning(学び)」を追加することで、次のステップが見えやすくなります。
STAR法を使った自己評価の書き方(具体例)
✅ 良い例1: 営業職の場合
Situation(状況):
担当エリアの売上が前年比10%減少し、競合他社にシェアを奪われている状況でした。
Task(課題):
売上回復のため、既存顧客のリピート率向上と新規開拓の両立が求められていました。
Action(行動):
既存顧客50社に対してヒアリング調査を実施し、ニーズを再分析。その結果、価格ではなくアフターサポートに不満があることを発見しました。そこで、月次フォローアップ体制を構築し、顧客満足度向上施策を実行しました。並行して、新規開拓では既存顧客の紹介制度を導入し、営業効率を改善しました。
Result(結果):
- リピート率:65% → 82%(+17ポイント)
- 新規顧客獲得:15社(紹介経由10社)
- 売上:前年比15%増を達成
- 顧客満足度アンケート:平均4.2/5.0 → 4.7/5.0
Learning(学び):
売上減少の原因を価格競争と決めつけず、顧客ヒアリングで真因を特定したことが成功要因でした。今後は、データに基づく課題設定力をさらに高めていきます。
✅ 良い例2: ITコンサルタントの場合
Situation(状況):
クライアントのシステム導入プロジェクトで、要件定義フェーズが予定より2ヶ月遅延し、納期遅延リスクが高まっていました。
Task(課題):
プロジェクト全体のスケジュールを立て直し、納期を守りつつ品質を担保することが求められました。
Action(行動):
まず、遅延原因を分析し、「要件の優先順位が不明確」「関係者間の認識齟齬」の2点を特定。そこで、要件をMUST/WANT/NICE TO HAVEの3段階に分類し、優先順位を明確化しました。さらに、週次で関係者全員が参加する進捗会議を設定し、認識齟齬を早期発見・解消する体制を構築しました。
Result(結果):
- スケジュール遅延:2ヶ月 → 最終的に予定通り納品
- 要件変更回数:25回 → 8回(約70%削減)
- クライアント満足度:4.5/5.0
- 社内評価:プロジェクトマネジメント力が高く評価され、次期PMに抜擢
Learning(学び):
遅延の真因は「スケジュールの見積もりミス」ではなく「要件の不明確さ」でした。今後は、プロジェクト開始時に要件の優先順位付けを徹底します。
コンピテンシー評価がある会社での書き方
コンピテンシー評価とは?
コンピテンシー評価とは、成果だけでなく、成果を生み出す行動特性(能力・スキル・姿勢)を評価する手法です。多くの企業では、以下のような項目が設定されています:
- コミュニケーション力
- 問題解決力
- リーダーシップ
- 計画立案・実行力
- 自己成長意欲
コンピテンシー評価での自己評価の書き方
ステップ1: 期初の自分のレベルを確認
コンピテンシー定義シートを見て、期初時点で自分が何のレベルにいたかを確認します。
例: 問題解決力
- レベル1: 上司の指示通りに課題解決できる
- レベル2: 自ら課題を発見し、解決策を提案できる
- レベル3: 複雑な課題を構造化し、チームで解決に導ける ← 期初はここ
ステップ2: 不足していた部分を特定
レベル3の定義と照らし合わせ、何が不足していたかを明確にします。
例:
「複雑な課題を構造化する力」は持っていたが、「チームで解決に導く力」が不足していた。特に、チームメンバーの意見を引き出し、合意形成する力が弱かった。
ステップ3: STAR法で成長を記述
Situation(状況):
プロジェクトで複数の課題が同時発生し、チーム内で優先順位の認識がバラバラだった。
Task(課題):
チームメンバーの意見を引き出し、課題の優先順位を合意形成する必要があった。
Action(行動):
週次でファシリテーション研修を受講し、「問いかけ」「傾聴」「可視化」のスキルを習得。プロジェクト内でブレインストーミングを実施し、課題を可視化。その後、投票方式で優先順位を決定しました。
Result(結果):
- チーム内の課題認識のズレが解消
- 優先度の高い課題から着手し、プロジェクト納期を遵守
- チームメンバーから「意見を言いやすくなった」との評価
Learning(学び):
ファシリテーションスキルを体系的に学んだことで、チームで解決に導く力が向上しました。今後は、より大規模なプロジェクトでもこのスキルを活かしていきます。
コンピテンシー定義がない場合や転職面接での伝え方
自分で「軸」を作る
コンピテンシー定義がない会社や転職面接では、自分で評価軸を作ることが重要です。
おすすめの軸(例)
- 専門スキルの向上 — 技術力・業界知識・資格取得など
- 問題解決力 — 課題発見・分析・解決策の実行
- 対人スキル — コミュニケーション・交渉・ファシリテーション
- プロジェクトマネジメント — 計画・進捗管理・リスク対応
- リーダーシップ — チーム牽引・後輩育成・意思決定
軸を使った自己評価の構成例
例: 「問題解決力」を軸にした自己評価
期初の状態:
上司から指示された課題は解決できるが、自ら課題を発見する力が不足していた。
STAR法で成長を記述:
(前述の具体例参照)
期末の到達点:
自ら課題を発見し、STAR法で構造化して解決できるレベルに到達。今後は、チーム全体の問題解決力向上に貢献したい。
転職面接でも使える「成果の伝え方」
転職面接でのSTAR法活用
転職面接でも、STAR法を使って成果を伝えることが効果的です。特に、以下のような質問で活用できます:
- 「これまでの実績を教えてください」
- 「困難を乗り越えた経験はありますか?」
- 「チームで成果を出した事例を教えてください」
転職面接での伝え方のコツ
コツ1: 時系列ではなく「課題→行動→結果」で語る
❌ 悪い例:
「私は2020年に入社し、営業部に配属されました。2021年にはリーダーになり、2022年には…」
✅ 良い例:
「担当エリアの売上が前年比10%減少という課題に対し、顧客ヒアリングで真因を特定し、アフターサポート体制を構築。結果、売上を前年比15%増に転換しました。」
コツ2: 数値で成果を示す
転職面接では、定量的な成果が重視されます。
定量成果の例:
- 売上:前年比15%増
- コスト削減:年間300万円
- リピート率:65% → 82%
- 納期遅延:2ヶ月 → 0日
- 顧客満足度:4.2 → 4.7(アンケート結果)
コツ3: 「再現性」をアピールする
面接官は、「この人は入社後も同じように成果を出せるか?」を見ています。そのため、Learning(学び)で再現性を示すことが重要です。
例:
「今回の成功要因は、顧客ヒアリングで真因を特定したことです。この手法は、他の課題でも応用できると考えています。御社でも、データに基づく課題設定力を活かし、貢献したいと考えています。」
コツ3: 「再現性」をアピールする
面接官は、「この人は入社後も同じように成果を出せるか?」を見ています。そのため、Learning(学び)で再現性を示すことが重要です。
例:
「今回の成功要因は、顧客ヒアリングで真因を特定したことです。この手法は、他の課題でも応用できると考えています。御社でも、データに基づく課題設定力を活かし、貢献したいと考えています。」
転職面接の準備には「転職活動」そのものが最適
STAR法を使った成果の伝え方を磨くには、実際の転職面接で練習するのが最も効果的です。転職する気がなくても、定期的に転職活動をすることで、以下のメリットがあります:
- 市場価値の把握 — 自分のスキルが市場でどう評価されるかを知れる
- 成果の言語化力向上 — 面接で成果を伝える練習になる
- キャリアの選択肢確保 — いざという時の備えになる
詳しくは、以下の記事で解説しています:
おすすめの転職エージェント
転職活動を始めるなら、まずは大手エージェントに登録し、市場価値を測ることから始めましょう。私が実際に5社の転職で活用し、質の高いサポートを受けられたエージェントを紹介します。
1. JACリクルートメント【ハイクラス・コンサル特化】
私の活用実績:
- 3社目→4社目、4社目→5社目の転職で利用
- 転職後も半年に1回の定期面談を継続
- コンサル業界担当者との信頼関係を構築
JACリクルートメントの特徴:
- 企業担当者が直接紹介 — 求職者担当ではなく、各企業担当者(複数企業担当)が直接紹介するスタイル
- 企業側の本音が聞きやすい — 企業担当者から直接情報が得られる
- ハイクラス求人に強い — 年収800万円以上の求人が豊富
こんな人におすすめ:
- 年収800万円以上を目指す人
- 専門性が高い職種(コンサル・IT・管理職)の人
- 企業の内情をしっかり知りたい人
私の活用法: 転職後も継続的に面談を続け、市場動向や自分の市場価値を確認。「転職する気がなくても面談して良い」という姿勢で、情報収集ツールとして活用しています。
2. リクルートエージェント【初めての転職に最適】
私の活用実績:
- 1社目→2社目、2社目→3社目の転職で利用
- 4社目以降も登録継続し、情報収集に活用
リクルートエージェントの特徴:
- 求職者に担当が付く — 丁寧なサポートで初めてでも安心
- 求人数が業界最大級 — 幅広い業界・職種に対応
- 転職ノウハウが豊富 — 職務経歴書の添削、面接対策も充実
こんな人におすすめ:
- 初めて転職する人
- まずは市場全体を把握したい人
- じっくり相談しながら進めたい人
私の活用法: 初期の転職で利用し、転職活動の基礎を学びました。現在もJACと併用して登録を継続し、情報を多角的に収集しています。
併用戦略のすすめ
推奨の組み合わせ: JACリクルートメント + リクルートエージェント
理由:
- JACだけでは情報が偏る可能性 — ハイクラス特化のため、幅広い選択肢が見えにくい
- 求職者担当型(リクルート)と企業担当型(JAC)の両方を活用 — 異なる視点で市場を把握
- 1つのエージェントに依存しない — 複数の評価軸で自分の市場価値を確認
複数登録のメリット:
- 市場価値を多角的に把握できる
- 各エージェントの得意分野を活かせる
- 想定年収レンジの精度が上がる
ポイント: 両方に登録して、比較しながら進めるのがおすすめです。エージェントとの面談で、STAR法を使って成果を伝える練習をしてみてください。転職する気がなくても、「市場価値の確認」「求められるスキルの把握」という目的で面談を活用しましょう。
詳しい活用法は、以下の記事で解説しています:
自己評価を書く際の5つのチェックポイント
✅ チェックリスト
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 1. 構造が明確か? | STAR法(状況→課題→行動→結果)の流れで記述されているか? |
| 2. 具体的か? | 「頑張った」「貢献した」などの抽象語を使わず、具体的な行動を記述しているか? |
| 3. 数値で示せるか? | 可能な限り定量的な成果を記載しているか? |
| 4. 客観的か? | 主観・感情ではなく、事実ベースで記述しているか? |
| 5. 成長が見えるか? | Learning(学び)で次のステップを示しているか? |
★総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 実用性 | ★★★★★ | 年度末評価・転職面接の両方で即実践可能。STAR法は汎用性が高い |
| 再現性 | ★★★★★ | フレームワークに沿えば誰でも成果を構造化して伝えられる |
| 効果 | ★★★★★ | 評価者・面接官に「伝わる」確率が劇的に向上する |
| 学習コスト | ★★★★☆ | STAR法の習得には練習が必要だが、一度身につければ一生使える |
| 汎用性 | ★★★★★ | 年度末評価・転職面接・昇進面談・プレゼン等、幅広く応用可能 |
| おすすめ度 | ★★★★★ | すべてのビジネスパーソンに必須のスキル |
総合評価: ★★★★☆(4.8/5.0)
こんな人におすすめ / おすすめしない
✅ こんな人におすすめ
- 年度末の自己評価で毎年損をしていると感じる人 — 成果が伝わらない悩みを解決
- 転職活動中で面接対策をしたい人 — 実績を効果的にアピールできる
- 昇進・昇格を目指している人 — 成長を可視化して上司にアピール
- コンサル・営業・プロジェクトマネージャー — 成果を定量・定性で示す必要がある職種
- 後輩育成を担当している人 — 部下の自己評価指導に活用できる
❌ こんな人にはおすすめしない
- すでにSTAR法を使いこなしている人 — 新しい情報は少ない
- 数値で成果を示せる実績がまったくない人 — まずは実績作りから
- 自己評価制度がない会社に勤めている人 — 直接的な活用機会は限定的(ただし転職時には有効)
まとめ:自己評価で損をしないために
この記事の最大の価値
自己評価で損をする最大の原因は、「やったことをダラダラ記載すること」。STAR法というフレームワークを使えば、成果を構造化し、評価者・面接官に「伝わる」形で表現できます。
個人的な体験総括
コンサルとして面接官を務める中で、STAR法で成果を伝えられる候補者は圧倒的に評価が高いことを実感してきました。年度末の自己評価でも同じです。「何が問題で、どう行動し、どんな結果を出し、何を学んだのか」——この構造を意識するだけで、あなたの評価は劇的に変わります。
もしあなたが「今年も頑張ったのに評価されなかった」と感じているなら、まずは自己評価の書き方を見直してみてください。STAR法は、年度末評価だけでなく、転職面接や昇進面談でも一生使えるスキルです。
一緒に、成果を正しく伝えるスキルを磨いていきましょう!


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