「もっと効率的に時間を使えば、全部できるはずだ」
時間管理系の本が好きで、これまで何冊も読んできました。そのたびに「このテクニックを使えば、もっと多くのことができる!」と期待し、実践してきました。しかし、日々の読書の中で出会ったオリバー・バークマンの『限りある時間の使い方』は、そんな私の前提を根底から覆す衝撃的な1冊でした。
「人生は4000週間しかない」——この事実を突きつけられた瞬間、これまでの時間管理への考え方が180度変わりました。効率化を追求すればするほど忙しくなり、「全部できる」という幻想にしがみついていた自分に気づかされたのです。
コンサルタントとして多忙な日々を過ごしながら、2歳と0歳の2児の父として育児にも向き合う生活の中で、「限られた時間をどう使うか」は常に課題です。本書は、その問いに対して従来とはまったく異なる視点を与えてくれました。
今回は、時間管理本を読み慣れた私が、この本から得た新たな視点と、子育て・仕事・学びを両立する世代にどう役立つかを徹底レビューします。
『限りある時間の使い方』基本情報
書籍の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書籍名 | 限りある時間の使い方 |
| 原題 | Four Thousand Weeks: Time Management for Mortals |
| 著者 | オリバー・バークマン(Oliver Burkeman) |
| 翻訳 | 高橋璃子 |
| 出版社 | かんき出版 |
| 発売日 | 2022年6月22日 |
| ページ数 | 304ページ |
| 価格 | 1,870円(税込) |
| ジャンル | ビジネス書・自己啓発・時間管理 |
著者プロフィール
オリバー・バークマン氏は、イギリスの全国紙「ガーディアン」のコラムニストであり、ライター・ジャーナリスト。若手ジャーナリスト賞などを受賞。心理学や哲学、時間管理に関する執筆で知られています。
なぜこの本を読んだのか?
時間管理系の本が好きでよく読んでいる
私は時間管理・自己啓発系の本が好きで、これまで以下のようなジャンルの本を数多く読んできました。
- タイムマネジメント術
- 生産性向上テクニック
- 習慣化メソッド
- 優先順位の付け方
毎回「この方法なら!」と期待し、実践してきました。そして確かに一定の効果はありました。しかし同時に、どれだけ効率化しても終わらない忙しさにも直面していました。
日々の読書の中で出会った1冊
この本を手に取ったきっかけは、書店で目にした「人生は4000週間」というキャッチフレーズでした。時間管理本を読み慣れた私でも、このタイトルには衝撃を受けました。
「4000週間?そんなに短いのか…」
80歳まで生きるとして、人生はたった4000週間。すでに40歳なら残り約2000週間。この事実を知り、「全部できる」という前提が根本的に間違っているのでは?という疑問が湧きました。
「こんな人におすすめ」
本書は以下のような方に特におすすめです。
- 時間管理本を読んでも忙しさが解消されない人: 効率化しても終わらないタスクに悩む
- 「全部やりたい」と思っている人: 諦めることの大切さを知りたい
- 子育て・仕事・学びを両立したい人: 限られた時間での優先順位の付け方
- 哲学的・本質的な視点が好きな人: 単なるテクニック論ではない深い洞察
- 時間に追われる感覚がある人: 時間との向き合い方を見直したい
本書の核心的メッセージ
「人生は4000週間しかない」という事実
本書の最も衝撃的なメッセージは、人生の有限性を数値で突きつけられる点です。
具体的な計算:
- 80歳まで生きる → 4000週間
- 90歳まで生きる → 4700週間
- 人類最長寿122歳 → 6400週間
現在の年齢から逆算すると:
- 30歳 → 残り約2600週間
- 40歳 → 残り約2000週間
- 50歳 → 残り約1500週間
この数字を見たとき、「意外と短い…」と感じたのではないでしょうか。私も40歳に近づいており、残り2000週間程度という現実に愕然としました。
「全部できる」という幻想を手放す
従来の時間管理本は、「効率化すれば全部できる」という前提に立っています。しかし本書は、この前提自体が幻想だと指摘します。
なぜ「全部できない」のか?
- 時間は本質的に有限: どれだけ効率化しても、時間自体は増えない
- やりたいことは無限: 情報社会では選択肢が無限に増え続ける
- 効率化するほど忙しくなる: タスクをこなせばこなすほど、新しいタスクが生まれる
本書の革新的な主張:
「時間を思いのままにコントロールし、もっと効率と生産性を高めれば、あらゆる不安から解放され、全てをやり切った充実感に満たされる」——これは幻想である。
この主張は、時間管理本を読み続けてきた私にとって、まさにコペルニクス的転回でした。
効率化ツールが逆効果になる理由
本書は、「効率化すればするほど忙しくなる」というパラドックスを説明します。
効率化の罠:
- メールを素早く処理 → さらに多くのメールが来る
- タスクを早く終わらせる → 新しいタスクが追加される
- スケジュールを詰め込む → 余白がなくなり疲弊する
これは「効率のパラドックス」と呼ばれ、生産性を高めれば高めるほど、やるべきことが増えてしまう現象です。
私自身、コンサルタントとして効率化を追求すればするほど、クライアントから「もっとお願いできますか?」と依頼が増え、結果的に忙しさが増すという経験を何度もしてきました。
「今」を犠牲にして「未来」に賭ける危険性
多くの時間管理本は、「将来のために今を犠牲にする」ことを推奨します。しかし本書は、この考え方の危険性を指摘します。
「未来志向」の落とし穴:
- 「将来のために今頑張る」→ その将来もまた「次の未来のための準備期間」になる
- 「いつか楽になる」→ そのいつかは永遠に来ない
- 「今を我慢すれば…」→ 人生の大半を我慢で終える
本書のメッセージ:
人生には「本番」などない。今この瞬間が人生そのものである。
この視点は、「将来のために今を犠牲にしがち」な私にとって、大きな気づきとなりました。
読んで得られた新たな視点
1. 「効率化=善」という前提の見直し
これまで私は、「効率化すればもっと多くのことができる」と信じていました。しかし本書を読んで、効率化自体が目的になっていたことに気づきました。
新たな視点:
- 効率化は手段であって目的ではない
- 「もっと多くのことをやる」ではなく「本当に大切なことをやる」
- 時間を節約するのではなく、時間をどう使うかが重要
2. 「諦めること」の積極的な価値
従来、「諦める」はネガティブな行為でした。しかし本書は、戦略的に諦めることの重要性を説きます。
新たな視点:
- 全部できないなら、何を諦めるかを自分で選ぶ
- 諦めることで、本当に大切なことに集中できる
- 「ノー」と言えることが、真の自由につながる
この視点は、「全部やりたい」と思いがちな自分にとって、大きな解放感をもたらしました。
3. 「今」を生きることの重要性
将来のために今を犠牲にすることが当たり前だと思っていましたが、本書は「今」こそが人生そのものだと説きます。
新たな視点:
- 「いつか楽になる」は来ない
- 今この瞬間を大切にする
- 未来への準備ではなく、今を充実させる
この視点は、子どもとの時間を「将来のための投資」ではなく「今の幸せ」として捉え直すきっかけになりました。
4. 「不完全さ」を受け入れる勇気
完璧主義的に「全部きちんとやりたい」と思っていましたが、本書は不完全さを受け入れることの大切さを説きます。
新たな視点:
- 完璧にやる必要はない
- やり残しがあるのは当然
- 不完全でも前に進める
子育て世代の両立にどう役立つか?
本書は、仕事・育児・学びを両立させたい子育て世代にとって非常に実践的です。以下、具体的な活用シーンを紹介します。
1. 「全部できる」幻想からの解放
子育て世代は、「完璧な親でありたい」「仕事でも成果を出したい」「自己成長も続けたい」と全部を求めがちです。
本書の視点を活用:
- 全部は無理だと認める
- 「今の時期は育児優先」など、優先順位を明確にする
- 諦めることで罪悪感を減らす
具体例:
- 子どもが小さい時期は、キャリアアップを一時的に諦める
- 読書時間を削って、子どもと遊ぶ時間を増やす
- 完璧な家事ではなく、「そこそこ」で満足する
2. 「今」の子育てを楽しむ
「将来のために今を我慢」ではなく、「今この瞬間の子育てを楽しむ」視点が得られます。
本書の視点を活用:
- 子どもの成長は今しかない
- 「いつか時間ができたら…」ではなく、今を大切にする
- 子どもとの時間を「将来への投資」ではなく「今の幸せ」として捉える
具体例:
- 「いつか子どもが大きくなったら旅行しよう」→「今、近場でも子どもと出かける」
- 「将来のために英語教育を…」→「今、子どもと絵本を楽しむ」
3. 効率化の罠を避ける
時短家電や効率化ツールを導入しても、忙しさが減らない理由が理解できます。
本書の視点を活用:
- 効率化で空いた時間を、新しいタスクで埋めない
- 余白の時間を意図的に作る
- 「やらないこと」を決める
具体例:
- 時短家電で空いた時間は、子どもと遊ぶ or 自分の休息に使う
- 毎日のスケジュールに「何もしない時間」を確保
- 「土日は仕事をしない」など、境界線を引く
4. パートナーとの時間配分の話し合い
限られた時間をどう使うか、パートナーと話し合う際の視点が得られます。
本書の視点を活用:
- お互いに「全部できない」ことを認め合う
- 優先順位を共有する
- 完璧を求めず、協力し合う
具体例:
- 「今週は妻が仕事優先、来週は夫が仕事優先」など、交互に調整
- 「家事は70点で OK」など、基準を下げる合意
- 「お互いに週1回、自由時間を確保」など、ルールを決める
5. 子どもに「時間の有限性」を教える
子どもが成長した際、本書の視点を伝えることで、時間の大切さを教えられます。
本書の視点を活用:
- 「今を大切にする」価値観を伝える
- 「全部できなくていい」ことを教える
- 優先順位の付け方を一緒に考える
深い洞察が高評価。ただし、即効性のあるテクニックを求める人には向かないという評価が多数でした。
★総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 内容の深さ | ★★★★★ | 時間管理の本質に迫る哲学的洞察。表面的なテクニック論ではない深い内容 |
| 新規性・独自性 | ★★★★★ | 「効率化=善」という前提を覆す革新的な視点。従来の時間管理本とは一線を画す |
| 読みやすさ | ★★★★☆ | 哲学的だがユーモアあり。ただし、じっくり読む必要がある |
| 実践性 | ★★★★☆ | 付録に10のツールあり。ただし、マインドセットの変革が主目的 |
| 子育て世代への適用性 | ★★★★★ | 「全部できる」幻想からの解放、「今」を大切にする視点が育児・仕事両立に直結 |
| コストパフォーマンス | ★★★★★ | 1,870円で人生観が変わる。何度も読み返す価値あり |
総合評価: ★★★★☆ (4.8 / 5.0)
まとめ:この本から得られる最大の価値
『限りある時間の使い方』の最大の価値は、「効率化すれば全部できる」という幻想を打ち砕き、限られた時間で本当に大切なことに集中する視点を与えてくれる点です。
時間管理系の本が好きで、これまで何冊も読んできた私にとって、この本は従来の時間管理本とはまったく異なる衝撃的な1冊でした。「人生は4000週間しかない」という事実を突きつけられ、「全部できる」という前提が根本的に間違っていることに気づかされました。
特に印象的だったのは、効率化すればするほど忙しくなる「効率のパラドックス」、そして「今」を犠牲にして「未来」に賭ける危険性です。これらの視点は、仕事と育児を両立する中で「もっと効率化しなければ」と焦っていた私に、「諦めることの積極的な価値」と「今この瞬間を大切にする」ことの重要性を教えてくれました。
本書は単なるテクニック集ではなく、時間との向き合い方、ひいては人生そのものへの向き合い方を問い直す哲学書です。1,870円という価格で、人生観が変わる体験ができる稀有な1冊だと感じています。
特に子育て世代にとっては、「完璧な親でありたい」「仕事でも成果を出したい」「自己成長も続けたい」と全部を求めがちな状況で、「全部できない」ことを認め、本当に大切なことに集中する勇気をくれます。
「もっと効率的に時間を使いたい」と感じているすべての人、そして「忙しさから解放されたい」と願うすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。
一緒に、限られた時間を本当に大切なことに使っていきましょう!


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