「褒めて伸ばす」って、具体的にどう褒めればいいの?
ITコンサルとして論理的思考を鍛えてきたつもりでも、2歳の長女を前にすると言葉が出てこない。「すごいね!」「えらいね!」と言ってはみるものの、これで本当に良いのか不安になる日々。
そんな時に出会ったのが、「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」(島村華子著)です。
対象年齢は3歳~12歳。長女はまだ2歳なので「ちょっと早いかも」と思いつつ手に取りました。でも、親が先に学んでおくことの価値を実感しています。
「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」基本情報
書籍情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書籍名 | 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 |
| 著者 | 島村華子(オックスフォード大学 児童発達学博士) |
| 出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
| 価格 | 1,650円(税込) |
| 対象年齢 | 3歳~12歳 |
| ページ数 | 175ページ |
| 発売日 | 2020年4月17日 |
※KindleUnlimitedを契約している場合は、読み放題で追加料金なしで読むことが可能です。
KindleUnlimitedについてはこちらの記事で紹介しています。
この本の特徴
モンテッソーリ教育とレッジョ・エミリア教育を知り尽くした児童発達学の専門家が、最新の脳科学と発達心理学に基づいて書いた実践的な子育て本です。
ただし、モンテッソーリ教育そのものを詳しく学ぶ本ではありません。著者の専門性を背景に、「子どもを一人の人間として尊重する」というモンテッソーリの理念を「声かけ」に応用した内容となっています。
Amazonベストセラー1位、レビュー数2,600件超、評価★4.2の信頼性の高い一冊。
なぜ対象年齢より早く買ったのか?
正直に言います。長女はまだ2歳です。この本の対象年齢は3歳~12歳。
でも読むことを決めた理由は3つあります:
- 親の声かけを変えるには準備期間が必要
突然「明日から褒め方を変えよう」と思っても、長年の習慣は変わりません。今から学んで準備することで、3歳になる頃には自然に実践できるようになります。 - 2歳でも活かせる原則がある
言語発達が進む2歳児にも、声かけの基本原則は有効です。「結果」ではなく「プロセス」を褒めるなど、今日から実践できることも多い。 - 育児の軸を作りたかった
ITコンサルとして「なぜそうするのか?」を常に問う仕事をしています。子育てでも、単なる感覚ではなく科学的根拠のある方法を知りたかった。
こんなパパ・ママにおすすめ
✅ このような方におすすめ
- 「すごいね」「えらいね」以外の褒め方を知りたい
- 感情的に叱ってしまい後悔することが多い
- 科学的根拠のある子育て法を学びたい
- 子どもの自主性を育てたい
- 3歳前後の子どもを持つ親(準備として)
- 小学校低学年の子どもを持つ親(実践として)
❌ こんな方には向かないかも
- すぐに実践できるテクニック「だけ」を求める方
- 理論や背景を読むのが苦手な方
- 0歳~1歳児の親(対象年齢が早すぎる)
- モンテッソーリ教育そのものを体系的に学びたい方
読んで学んだこと:従来の褒め方・叱り方との決定的な違い
❌ 従来型の褒め方(結果を褒める)
- 「すごいね!」
- 「天才だね!」
- 「いい子だね!」
- 「100点取ってえらい!」
これらの褒め方は、結果や能力を褒めています。
✅ この本が推奨する褒め方(プロセスを褒める)
- 「一生懸命頑張ったね」
- 「最後まで諦めなかったね」
- 「自分で考えて工夫したね」
- 「難しいのにチャレンジしたね」
努力や工夫、プロセスを具体的に言語化して伝える。
なぜプロセスを褒めるべきなのか?
本書では、スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士の研究が紹介されています。
結果を褒められた子どもは:
- 失敗を恐れるようになる
- 難しい課題を避けるようになる
- 能力が固定的だと思い込む
プロセスを褒められた子どもは:
- 困難に立ち向かう
- 失敗から学ぼうとする
- 努力で能力が伸びると信じる
ITコンサルとして「失敗から学ぶ文化」の重要性を痛感しているので、この考え方には強く共感しました。
本書の構成:どんな内容が書かれているか
目次を見ると、理論から実践まで体系的に構成されていることがわかります。
第1章:親の声かけ次第で子どもは成長する
「条件付き子育て」vs「無条件子育て」の違い、子育ての長期的なゴールなど、基本的な考え方を解説。
第2章:自分でできる子に育つ「ほめ方」
3種類の褒め方の比較、具体的な場面別の声かけ例(10ケース)。
具体例:
- 字が上手に描けたとき
- お手伝いをしたとき
- テストの点数がよかったとき
第3章:自分でできる子に育つ「叱り方」
罰を与える叱り方のデメリット、上手な叱り方の3つのポイント、場面別の対応例(10ケース)。
具体例:
- 壁に落書きをしたとき
- スーパーでだだをこねるとき
- 門限を守らないとき
第4章:子どもとつながる聞く習慣
アクティブリスニング(傾聴)の実践法、子どもとぶつかる習慣vsつながる習慣。
第5章:Q&A
「厳しく叱らないと言うことを聞きません」「祖父母による甘やかし、どう対応する?」など、実践的な悩みへの回答。
ITコンサル視点での評価:
問題定義→理論→具体例→Q&Aという構成は、ビジネス書のロジカルな構成と同じ。理解しやすく、実践に落とし込みやすい。
パパ目線:2歳児でも「今」できること
対象年齢は3歳~ですが、2歳の長女にも活かせることがありました。
1. 声かけの言葉を変える実験中
Before(以前の声かけ):
- 娘がブロックを積む → 「すごいね!上手だね!」
- お片付けをする → 「えらいね!いい子だね!」
After(本を読んでから):
- 娘がブロックを積む → 「高く積めたね。バランス取るの難しいのに頑張ったね」
- お片付けをする → 「自分でおもちゃを箱に入れたね。片付けてくれてありがとう」
まだ言葉の意味をすべて理解できているわけではありませんが、具体的に何を見ているか伝えることで、娘の表情が変わった気がします。
2. 「ダメ」の代わりに理由を伝える
Before:
- 「ダメ!」「やめなさい!」
After:
- 「痛いから優しく触ろうね」
- 「危ないから、こっちで遊ぼう」
2歳のイヤイヤ期真っ只中で、まだまだ難しいですが、なぜダメなのかを短い言葉で伝えることを意識しています。
3. 親自身の感情コントロール
本書では「叱る前に6秒待つ」という具体的なテクニックも紹介されています。
ITコンサルの現場では冷静に対処できるのに、娘の前では感情的になってしまうことも。この本を読んで、親自身が感情を整理する重要性を再認識しました。
3歳以降に本格実践したい内容
まだ実践できていないけれど、長女が3歳になったら試したい内容もたくさんあります。
1. 「無条件の褒め方」と「条件付きの褒め方」の使い分け
本書では、褒め方を2種類に分類しています:
無条件の褒め方:
- 存在そのものを認める
- 「あなたがいてくれて嬉しい」
- 「大好きだよ」
条件付きの褒め方:
- 具体的な行動を認める
- 「○○してくれてありがとう」
- 「△△を頑張ったね」
両方をバランスよく使い分けることが大切だそうです。3歳以降、言葉の理解が進んだら意識的に実践したいです。
2. 「選択肢を与える叱り方」
叱るときも、頭ごなしに否定するのではなく:
「AとB、どっちにする?」と選択肢を与えることで、子どもの自律性を育てる。
これは3歳以降、論理的思考が発達してから有効な方法だと思います。
3. 「感情の言語化」を教える
「悲しいんだね」「悔しかったんだね」と、子どもの感情を言葉にして返してあげることで、感情のコントロールを学ぶ。
これも言語能力が発達する3歳以降に実践したいテクニックです。
この本の良い点・気になる点
良い点
1. 科学的根拠が豊富
単なる経験談ではなく、脳科学・発達心理学の研究に基づいた内容。ITコンサルとして「なぜ?」を重視する自分には、この論理性が信頼できました。
2. 具体例が多い
理論だけでなく、実際の声かけ例が豊富。「こういう時はこう言う」という実践的な内容がありがたい。場面別の対応例が計20ケース掲載されています。
3. 「ダメな例」も示してくれる
「こう言ってはいけない」という例も明示されているので、自分の声かけを振り返りやすい。Before/Afterの比較が明確。
4. 子どもの自主性を尊重する考え方が一貫している
モンテッソーリ教育の「子どもを一人の人間として尊重する」という理念が全体を貫いている。テクニックだけでなく、考え方の軸が学べる。
5. 読みやすい文章
専門書なのに読みやすい。仕事の合間や寝る前に少しずつ読めました。256ページと適度なボリューム。
気になる点
1. 実践には時間がかかる
理解するのと実践できるのは別。長年の声かけの癖を変えるには、意識的な練習が必要です。
2. 2歳以下の子には早い部分も
対象年齢が3歳~なので、2歳児に全てを適用するのは難しい。ただし、親が準備として学ぶ価値はあります。
3. 完璧を目指すとプレッシャーになる
「正しい褒め方・叱り方」を意識しすぎると、逆にストレスになることも。完璧主義にならず、少しずつ実践するのが大切だと感じました。
4. モンテッソーリ教育そのものは学べない
著者はモンテッソーリ研究者ですが、この本はモンテッソーリ教育の体系的な解説書ではありません。教具の使い方や教室での実践法などは書かれていません。
★総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 内容の充実度 | ★★★★★ | 児童発達学×脳科学の融合。理論と実践のバランスが絶妙。場面別20ケースの具体例が実用的 |
| 実践のしやすさ | ★★★★☆ | 理解しやすいが、習慣化には時間が必要。継続的な意識が求められる。即効性より長期的効果 |
| 科学的信頼性 | ★★★★★ | オックスフォード大学博士の著書。引用文献も豊富で信頼性が高い。根拠が明確 |
| コストパフォーマンス | ★★★★☆ | 1,650円で3歳~12歳まで使える知識が得られる。長期的には投資価値あり。10年使える一冊 |
| 読みやすさ | ★★★★☆ | 専門書だが平易な文章。具体例が多く理解しやすい。175ページと適度なボリューム |
| 対象年齢の適合性 | ★★★★☆ | 3歳~12歳対象だが、2歳児の親が準備として学ぶのも有効。早めの学習推奨 |
総合評価:★★★★☆(4.3 / 5.0)
※KindleUnlimitedを契約している場合は、読み放題で追加料金なしで読むことが可能です。
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まとめ:「まだ早い」と思っても親が学ぶ価値がある理由
この本の最大の価値は、「褒める・叱る」という日常的な行為に科学的な根拠を与えてくれることです。
ITコンサルとして「なぜそうするのか?」を常に問う仕事をしてきました。子育てでも同じように、感覚だけに頼らず、理論に基づいた方法を知ることで、自信を持って子どもと向き合えるようになります。
長女はまだ2歳。本書の対象年齢には1年早いですが、親が先に学んでおくことで、3歳になった時にスムーズに実践できる準備ができています。
具体的な活用実績:
- 声かけの言葉を意識的に変え始めた
- 感情的に叱る回数が減った(完璧ではないけれど)
- 娘の小さな努力に気づけるようになった
- 「なぜそう声をかけるのか」理由を説明できるようになった
こんな方におすすめ:
- 3歳前後~小学生の子どもを持つ親
- 科学的根拠のある子育て法を学びたい方
- 「すごいね」以外の褒め方を知りたい方
- 感情的に叱ってしまい後悔することが多い方
- 子どもの自主性を育てたい方
親の声かけが変われば、子どもの成長も変わる。一緒に学んでいきましょう!


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