「向いていない人は、早く次のキャリアを考えたほうが良い」
コンサルティングファームの新入社員向けイベントで、人事部長がこう明言したとき、会場には独特の緊張感が走りました。
これが、コンサル業界でよく聞く「Up or Out」文化の日本的な実態です。
しかし、多くの人が誤解しているのは、日本の労働法の下では「Out」が即座にクビを意味するわけではないということ。実際には、もっと複雑で、ある意味で巧妙なメカニズムが働いています。
私自身、SE職から外資系・日系大手コンサルファームを経て、現在ベンチャーコンサルファームで部長クラスのポジションにいます。転職5回、コンサル業界だけで10年以上のキャリアの中で、Up or Out文化の実態を目の当たりにしてきました。
今回は、コンサル業界を目指す方、現在コンサルで働いている方に向けて、Up or Out文化の日本的実態とキャリア戦略について、私の経験をもとに詳しく解説します。
特に、年収300万円台から1500万円台まで、約5倍の年収アップを実現した転職戦略と、Up or Out環境でのサバイバル術をお伝えします。
こんな人におすすめ
✅ コンサルティング業界への転職を検討している方
✅ 現在コンサルファームで働いており、キャリアに不安を感じている方
✅ Up or Out文化の実態を知りたい方
✅ コンサル業界での年収アップ戦略を知りたい方
✅ パフォーマンス評価に悩んでいる方
Up or Outとは?基本概念の整理
本来の意味:欧米型Up or Out
Up or Out(アップ・オア・アウト)とは、主に外資系コンサルティングファームや投資銀行で採用されている人事制度です。
基本原則:
- Up(昇進): 一定期間内に次のポジションへ昇進する
- Out(退職): 昇進できなければ組織を離れる
初心者向け補足:職位の階層
コンサルティングファームの典型的な職位階層:
Analyst(アナリスト)→ Consultant(コンサルタント)→ Senior Consultant(シニアコンサルタント)→ Manager(マネージャー)→ Senior Manager(シニアマネージャー)→ Director(ディレクター)→ Partner(パートナー)
各職位の中で2-3段階のランク(Analyst1やAnalyst2など)があり、それぞれの標準的な在籍期間は2-3年程度で、標準的な期間を超えると退職していくといったイメージです。
欧米では、この制度が比較的ストレートに運用されます。昇進の機会が訪れ、選ばれなければ退職、という明確なルールです。
日本型Up or Outの実態:直接クビにはならない
しかし、日本では労働法の制約により、簡単に解雇することはできません。
そこで、日本のコンサルティングファームでは「居心地を悪くして自主退職を促す」という、より間接的なアプローチが取られています。
私が10年以上のコンサルキャリアの中で観察してきた「Out」のパターンは、主に以下の3つです:
- PIP(Performance Improvement Plan)の発動
- 降格人事による居心地の悪化
- 意図的な不遇プロジェクトへのアサイン
これらについて、次のセクションで詳しく解説します。
日本のコンサルファームにおける「Out」の3パターン
パターン①:PIP(Performance Improvement Plan)
PIPとは何か?
PIP(Performance Improvement Plan)は、直訳すると「業績改善計画」です。パフォーマンスが基準に達していない社員に対して、一定期間内に改善を求める制度です。
PIPの実態:
- 期間: 通常3-6ヶ月
- 内容: 具体的な改善目標の設定、定期的な進捗確認
- 結果: 改善が見られない場合、退職勧奨の材料となる
私が直接見聞きしたケースでは、PIPに入った社員のほとんどが、最終的には自主退職という形で会社を離れています。
PIPは、法的に解雇できない日本の労働環境において、パフォーマンス不足を文書化し、将来的な退職交渉の根拠とする仕組みとして機能しています。
PIPが発動される典型的なケース:
- 2-3年同じポジションに留まり、昇進の見込みがない
- プロジェクトでの評価が連続して低い
- クライアントからのフィードバックがネガティブ
- チーム内での協働に課題がある
初心者向け補足:「普通にやっていれば大丈夫」は通用しない
コンサル業界では、「adequate(適切な)パフォーマンス」では不十分です。常に成長し続けることが求められます。同じレベルのパフォーマンスを維持しているだけでは、2-3年後にはPIPの対象となる可能性があります。
今の職位としては全く問題ないパフォーマンスを出していても、同じレベルのパフォーマンスを維持しているだけでは、2-3年後にはPIРの対象となる可能性があります。
※「人は成長するもの」なのに、成長(昇格)していないということは、向いていないといった理屈です。
パターン②:降格人事による居心地の悪化
日本の労働法では、正当な理由なく解雇することは困難です。しかし、降格は比較的容易に実施できます。
降格の実態:
- Senior ManagerからManagerへ
- ManagerからSenior Consultantへ
- 年収の減少(10-20%程度)
- 以前の部下が同僚や上司になる心理的プレッシャー
私が在籍していた日系大手コンサルファームでは、あるマネージャーが降格され、以前自分が育てていたメンバーの下で働くことになったケースを目撃しました。
その方は、降格から半年以内に退職されました。
これは、会社側としては解雇ではなく「本人の選択による退職」という形になるため、法的リスクを回避しながら組織の新陳代謝を促す手法として機能しています。
パターン③:意図的な不遇プロジェクトへのアサイン
最も見えにくいのが、この「プロジェクトアサインによるOut誘導」です。
不遇プロジェクトの特徴:
- 成果が見えにくい社内業務
- 短期の小規模案件の連続
- スキルアップにつながらない単純作業
- 評価されにくいポジション
コンサルティング業界では、どのプロジェクトにアサインされるかが、その後のキャリアを大きく左右します。
戦略プロジェクトや大規模変革案件は、高い評価とスキル向上につながりますが、単純な作業支援やドキュメント作成ばかりのプロジェクトでは、成長の機会が限られます。
私が観察した限り、パフォーマンスに課題があると見なされた社員は、徐々にこうした「成長機会の少ないプロジェクト」にアサインされていく傾向がありました。
そして、スキルが向上しないため評価も上がらず、最終的には自主退職に至る、というパターンです。
また、場合によってはずっとプロジェクトにアサインされない方というのも見てきました。
Up or Out文化下での退職率データ
コンサルティング業界全体の離職率は高いことで知られていますが、その中でもパフォーマンス起因の退職と自己都合の転職は分けて考える必要があります。
私の観察:パフォーマンス起因の退職率
私が在籍した複数のコンサルティングファームでの観察データです。
| ファームタイプ | 年間総離職率 | パフォーマンス起因の退職率 | 自己都合転職率 |
|---|---|---|---|
| 外資系戦略ファーム | 20-35% | 10-20% | 10-15% |
| 日系大手総合ファーム | 20-30% | 10-15% | 10-15% |
| ベンチャーファーム | 15-25% | 5-10% | 10-15% |
ポイント:
- 総離職率の中で、10-20%程度はパフォーマンス起因
- 残りの大部分は、「より良い機会 or ワークライフバランス or 事業会社転職」を求めた自己都合の転職
- Up or Out文化は確実に機能しているが、全員が対象ではない
つまり、80-90%の人は、自分の意思でキャリアを選択できているということです。
「普通」では生き残れない:求められる成長スピード
コンサルティング業界では、「現状維持=後退」という厳しい現実があります。
理想的な昇進ペース:
- Analyst → Consultant: 2-3年
- Consultant → Senior Consultant: 2-3年
- Senior Consultant → Manager: 3-4年
- Manager → Senior Manager: 3-4年
このペースで昇進していけば、コンサル業界に入って10年以内に年収1500万円台も十分可能です。
逆に、同じポジションに3年以上留まると、Up or Outの対象として認識され始めます。
私の転職履歴:年収300万円台から1500万円台への道のり
ここで、私自身のキャリアと年収推移を公開します。
Up or Out文化の中で、どのように年収を5倍に伸ばしたのか、具体的な戦略とともにお伝えします。
キャリアタイムライン
| 会社 | 業種・規模 | 在籍期間 | ポジション | 年収推移 |
|---|---|---|---|---|
| 1社目 | SE職 | 数年間 | SE | 300万円台 → 400万円台 |
| 2社目 | 外資系コンサル | 2-3年 | Consultant → Senior Consultant | 500万円台 → 800万円台 |
| 3社目 | 日系大手コンサルA | 2-3年 | Senior Consultant → Manager | 700万円台 → 1000万円台前半 |
| 4社目 | 日系大手コンサルB | 3-4年 | Manager → Senior Manager | 1100万円台前半 → 1500万円台 |
| 5社目 | ベンチャーコンサル | 現在 | Senior Manager(部長クラス) | 1600万円台後半~ |
各転職での戦略と学び
1社目→2社目:SE職からコンサルへのキャリアチェンジ
年収:400万円台(転職前) → 500万円台(転職後) → 800万円台(2社目の最後)
SE職で数年間経験を積んだ後、コンサル業界への転職を決意しました。
転職理由:
- より上流の戦略策定に関わりたい
- 年収の天井を突破したい
- 多様な業界・プロジェクトに関わりたい
戦略:
- ITスキルを武器に、IT戦略・CXコンサルティングポジションを狙う
- 外資系コンサルは未経験でも実力重視の採用が多いことを活用
- 転職エージェントを活用し、面接対策を徹底
結果:
外資系コンサルティングファームのConsultantポジションで入社。年収は一気に500万円台へ。CXコンサルティング領域で経験を積み始めました。
初心者向け補足:CX(Customer Experience)とは?
顧客体験を設計・改善する専門領域です。マーケティング、UI/UX、カスタマーサポート、データ分析など、顧客接点全体を最適化するコンサルティング業務です。
2社目→3社目:CX経験領域の拡大を目指して、戦略的な「年収ダウン転職」
年収:800万円台(転職前) → 700万円台(転職後) →1000万円台前半(3社目の最後)
これは、私のキャリアの中で最も重要な転職でした。
外資系コンサルで順調にSenior Consultantまで昇進し、年収も800万円台に達していました。しかし、より幅広いCX経験を積むため、あえて日系大手コンサルファームへ年収ダウンで転職しました。
転職理由:
- 外資系CXコンサルではニッチな業界・業務への特定領域の専門知識に偏っていた
- より多様なCX領域(マーケティング、カスタマーサポート、デジタル体験など)の経験を積みたい
- 日系大手の大規模CXプロジェクトでの経験を次のステップの武器にしたい
- 2-3年で再度転職することを前提に、学びを最大化する
戦略:
- 年収よりもスキル獲得を優先する
- 日系大手の大規模プロジェクトでの経験を次のステップの武器にする
- CX領域内での専門性を広げることで、転職市場での価値を高める
結果:
この判断は正解でした。日系大手での多様なCXプロジェクト経験は、その後のキャリアで大きな武器となりました。そして、2-3年後には再び年収を大きく上げることができました。
初心者向け補足:年収ダウン転職のリスクと判断基準
年収を下げる転職は、一般的にはリスクが高いとされます。しかし、以下の条件が揃っていれば、戦略的に有効です:
- 明確に獲得したいスキルが定義されている
- そのスキルが市場価値の高いものである
- 2-3年後に年収を回復・上昇させる具体的な計画がある
- 生活資金に余裕がある
私の場合、外資系でのCXスキルに加え、日系大手での多様なCX経験を身につけることで、その後の転職市場での価値が大きく向上しました。
3社目→4社目:「CXしかできない人」からの脱却
年収:1000万円台前半(転職前) → 1100万円台(転職後) → 1500万円台(4社目の最後)
日系大手コンサルAでManagerまで昇進し、年収も1000万円台前半まで大きく成長した段階で、次の転職を実行しました。
転職理由:
- 転職活動を通じて「CXしかできないのでは?」と見られることを知った
- CX以外の領域(セキュリティ、IT戦略など)も経験したい
- 「CXしかできない人」から「CX+多領域対応可能な人」へ脱却したい
戦略:
- CXの経験を武器にしつつ、他領域にも挑戦できる環境を選ぶ
- Managerとしての実績を明確に示す
- 複数オファーを取り、年収交渉を有利に進める
結果:
日系大手コンサルBにManagerとして入社し、3-4年かけてSenior Managerへ昇進。年収は1500万円台に到達しました。
CX以外の領域(セキュリティ、業務改革など)にも携わることで、スキルセットが大きく広がりました。そして、意外な発見がありました。
重要な気づき:
CX以外の経験を積んでみて、「やはり自分はCXが好きだ」と再確認できました。これは、他領域を経験したからこそ得られた確信です。
そして、転職市場での評価も大きく変わりました。LinkedInや転職エージェントからのオファーで、「CX+多領域経験がある人」として、部署横断・コラボレーション案件の打診が増えました。
4社目→5社目:CX回帰+AI活用の深化
年収:1500万円台前半(転職前) → 1600万円台後半(転職後)
現在は、ベンチャーコンサルティングファームでSenior Manager/部長クラスのポジションにいます。
転職理由:
- CX以外の経験を積んだ結果、「やはりCXが好き」と再確認
- AI活用スキルの需要が爆発的に高まっていることを転職エージェントとの面談で改めて確認
- CX×AI活用という最先端領域に挑戦したい
- より経営に近いポジションでの挑戦
- 組織づくりに関わりたい
- ワークライフバランスの改善
戦略:
- CX回帰:自分の「好き」を再優先
- AI活用に特化した企業を選択:市場価値の高いスキルを磨く
- ベンチャー環境:経営に近いポジションで裁量を持つ
特徴:
- 大手ファームに比べて自由度が高い
- 経営層との距離が近い
- 若手育成にも関与できる
- AI活用案件に積極的に参加
- 部署立ち上げに関するスキル・経験を獲得
これまでの転職戦略の総括:
私のキャリアを振り返ると、「CX専門→多領域経験→CX回帰+AI」という明確な流れがあります。
- 2社目:CXコンサルとしてスタート
- 3社目:CX領域内での経験拡大
- 4社目:CX以外の経験で「やはりCXが好き」と再確認
- 5社目:CX×AI活用という新しい価値提供
この戦略により、「CXしかできない人」から「CX+多領域対応可能な人」へと進化し、転職市場での選択肢が大きく広がりました。
Up or Out文化で生き残るための戦略
私の経験から、Up or Out文化の中で成功するための具体的な戦略を共有します。
戦略①:常に「次の転職」を視野に入れる
コンサル業界では、社内での昇進と転職による昇進の両方を選択肢として持つことが重要です。
具体的なアクション:
- 転職エージェントとの定期的な情報交換(年に2-3回)
- LinkedInプロフィールの定期的な更新
- 業界動向・年収相場の継続的なリサーチ
- スキルの市場価値を常に意識する
私自身、転職を決断していない時期でも、定期的に転職エージェントと情報交換をしていました。これにより、自分の市場価値を客観的に把握でき、社内での評価との差も認識できます。
私の実例:CX専門性の市場価値の変化
転職エージェントとの定期面談を通じて、以下のような変化を実感しました:
- CXのみの経験時:求人の幅が限定的、「CX専門家」としてのみ評価
- CX+他領域の経験後:求人の幅が劇的に拡大、「CX以外も理解している人材」として評価
- 部署横断案件の打診増加:多領域理解があることで、コラボレーションを進めたい企業からのオファー増加
この気づきがあったからこそ、4社目でCX以外の経験を積む決断ができました。
戦略②:プロジェクトアサインを戦略的に選ぶ
コンサルティング業界では、プロジェクトの選択がキャリアを決めると言っても過言ではありません。
良いプロジェクトの特徴:
✅ 経営層とのディスカッションがある
✅ 戦略立案・意思決定に関わる
✅ 複数のステークホルダーを巻き込む
✅ 数値で成果を示せる
✅ 最新の手法・ツールを使う
避けるべきプロジェクト:
❌ 単純作業・ドキュメント作成のみ
❌ 短期の小規模案件の連続
❌ 成果が見えにくい社内業務
❌ スキルアップにつながらない内容
プロジェクトアサインの段階で、上司やパートナーと率直に話し合い、自分のキャリアゴールに合ったプロジェクトを選ぶことが重要です。
戦略③:評価の見える化とコミュニケーション
Up or Out文化の中で、自分が今どう評価されているのかを常に把握することは極めて重要です。
具体的なアクション:
- 定期的な1on1で率直なフィードバックを求める
- プロジェクト終了時に詳細な評価をもらう
- 昇進のタイミングと条件を理解する
- 評価が低い場合、具体的な改善点を確認する
PIPが突然発動されて驚く、というケースは、実は日頃のコミュニケーション不足が原因であることが多いです。
評価に不安を感じたら、すぐに上司と話し合い、改善策を講じることで、Outのリスクを大きく減らせます。
戦略④:スキルの複線化
一つの専門性だけでなく、複数のスキルセットを持つことで、キャリアの選択肢が広がります。
私のスキル複線化の例:
- CXコンサルティング(1つ目の専門性)
マーケティング、UI/UX、カスタマージャーニー設計など - セキュリティ・IT戦略など多領域(2つ目の専門性)
CX以外の経験で獲得した幅広い知見 - プロジェクトマネジメント(汎用スキル)
規模や業界を問わず通用する能力 - データ分析・AI活用(技術スキル)
最新技術トレンドへの対応力
このように、複数の専門性を持つことで、一つの領域でのパフォーマンスが一時的に低下しても、別の領域での貢献で評価を維持できます。
また、転職市場での価値も大きく向上します。
重要なポイント:専門性の「深さ」と「広さ」のバランス
私の経験から言えるのは、まず一つの専門性を深く掘ることが重要だということです。
- 2社目~3社目:CXという一つの専門性を深める
- 4社目:CX以外の経験で「広さ」を獲得
- 5社目:CX×AI活用で「深さ」と「広さ」を融合
このバランスが、Up or Out環境での生き残りと、転職市場での高評価につながりました。
戦略⑤:定期的な転職でリスクヘッジ
日本のUp or Out文化では、長期間同じ会社に留まることがリスクになる場合があります。
転職によるメリット:
- 評価をリセットできる
- 年収交渉がしやすい
- 新しいスキル・経験を得られる
- ネットワークが広がる
私自身、2-4年ごとに転職することで、常にフレッシュな評価を得ながら、年収とポジションを上げてきました。
もちろん、転職回数が多すぎるのは問題ですが、コンサル業界では2-3年での転職は一般的であり、むしろ積極的に評価されることも多いです。
Up or Out文化は悪なのか?私の見解
ここまで、Up or Out文化のシビアな側面を中心にお伝えしてきましたが、私自身はこの文化を全面的に否定しているわけではありません。
Up or Out文化のポジティブな側面
①成長を強制される環境
甘えが許されない環境は、確かにプレッシャーですが、同時に驚異的な成長速度を実現します。
私自身、SE時代には想像もできなかったスピードでスキルと年収を伸ばせたのは、Up or Out環境のおかげです。
②市場価値の高い人材になれる
コンサル業界で生き残った人材は、他業界でも高く評価されます。
事業会社への転職、起業、フリーランスコンサルなど、様々なキャリアパスが開けます。
③早期に適性を見極められる
向いていない仕事を何十年も続けるよりも、早期に適性を見極めて別のキャリアに移る方が、長期的には本人にとってもプラスです。
私自身、4社目でCX以外の経験を積んだことで、「やはり自分はCXが好きだ」と確信できました。これは、Up or Out環境で複数の転職を経験したからこそ得られた気づきです。
Up or Out文化に向いている人・向いていない人
向いている人:
✅ 競争環境でモチベーションが上がる
✅ 短期間で成長したい
✅ 高い年収を早期に実現したい
✅ 変化を楽しめる
✅ 論理的思考力・コミュニケーション力に自信がある
向いていない人:
❌ 安定志向が強い
❌ じっくり同じ仕事を続けたい
❌ プレッシャーに弱い
❌ ワークライフバランスを最重視
❌ 競争が苦手
重要なのは、自分の適性を正しく認識することです。
コンサル業界は魅力的ですが、全員に向いているわけではありません。自分のキャリアゴール、価値観、ライフスタイルを考えた上で、判断することが大切です。
コンサル転職を成功させるためのエージェント活用術
Up or Out文化のコンサル業界では、戦略的な転職が極めて重要です。
私自身、5回の転職すべてで転職エージェントを活用してきました。その経験から、おすすめのエージェントと活用法をご紹介します。
おすすめ転職エージェント
| エージェント | 評価 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| ビズリーチ | ★★★★★ | ハイクラス転職に強い、スカウト機能が優秀 | コンサル転職必須 |
| JACリクルートメント | ★★★★★ | 外資系・日系大手コンサルに強い、年収交渉力が高い | 年収800万円以上なら必須 |
| リクルートエージェントマイナビエージェント/doda | ★★★★☆ | 案件数が圧倒的、幅広い選択肢 | 初回コンサル転職におすすめ |
| アクシスコンサルティング | ★★★★☆ | コンサル業界特化、内部事情に詳しい | コンサル→コンサル転職向け |
私の活用法:
- 複数エージェントに同時登録(3-4社程度)
- 各エージェントの特性を活かす(企業の詳しい情報はJAC、案件数はリクルート/マイナビ/doda、など)
- 定期的な情報交換(転職しない時期でも年に2-3回)
より詳しい転職エージェント活用法については、キャリア自衛のための定期的な転職活動のすすめの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
年収交渉のポイント
コンサル業界では、オファー時の年収交渉が極めて重要です。
私が実践してきた交渉術:
①現在の年収を正直に伝える
嘘をつくと、後々のトラブルの原因になります。正直に伝えた上で、「市場価値としてはより高いはず」と主張します。
②複数オファーを取る
他社のオファーがあることを伝えることで、条件を引き上げやすくなります。
③年収だけでなく、ポジションも交渉する
同じ年収でも、ポジションが上がれば次の転職での価値が上がります。
④エージェントを味方につける
エージェントは成功報酬なので、あなたの年収が上がれば彼らの報酬も上がります。遠慮なく交渉を依頼しましょう。
⑤即決しない
「検討させてください」と一度持ち帰ることで、冷静に判断でき、追加条件を引き出せることもあります。
まとめ:Up or Out文化との向き合い方
コンサル業界のUp or Out文化は、確かにシビアです。
日本では、PIP、降格、不遇プロジェクトといった形で、徐々に「Out」へと誘導されます。パフォーマンス起因の退職率は年間10-20%程度と、決して低くありません。
しかし、この文化は成長と高収入を短期間で実現できる環境でもあります。
私自身、SE職で年収300万円台だったところから、コンサル業界で10年以上かけて年収1500万円台まで到達しました。これは、Up or Out文化のプレッシャーがあったからこそ実現できたことです。
そして、転職を繰り返す中で、「CX専門→多領域経験→CX回帰+AI」という明確なキャリア戦略を描くことができました。CX以外の経験を積んだことで、「やはり自分はCXが好きだ」と確信できたのは、大きな収穫でした。
重要なのは、以下の3点です:
- 自分の適性を正しく認識する
Up or Out文化が自分に合っているかを冷静に判断する - 常に市場価値を意識する
社内評価だけでなく、転職市場での価値を把握し続ける - 戦略的にキャリアを設計する
昇進、転職、スキル獲得を計画的に進める
コンサル業界を目指す方、現在コンサルで働いている方が、Up or Out文化の実態を理解した上で、自分に合ったキャリア戦略を描く一助になれば幸いです。
一緒に、戦略的なキャリアを築いていきましょう!

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